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ドイツ、24年は19年比7割回復に期待-日本開局50周年でツアー補助も

  • 2024年6月21日
記念レセプションでの記念撮影の様子

 ドイツ観光局は6月19日、プレス発表会と日本支局開局50周年の記念レセプションを開催した。プレス発表会で登壇した、同局アジア地区統括局長兼日本支局長の西山晃氏は、日本市場(宿泊数ベース)の回復状況について解説。2023年は2019年比52%まで回復しており、24年1月から4月までは19年比約60%弱まで戻ってきていることを説明し、今年の見通しについて「60%から良くて70%。7割回復すれば御の字」と語った。

 西山氏は日本市場の回復が緩やかである一因として、日独間の直行便が19年比7割までの回復で停滞していることを指摘。機材や乗員不足、ウクライナ問題によるロシア上空通行禁止などをその理由として挙げた。

 加えてドイツ国内のインフレと歴史的な円安による旅費の上昇も阻害要因で、旅行平均価格は19年は2,869ユーロだったが、24年は4794ユーロに上昇。一方で平均滞在期間は19年の4.04泊から24年は4.19泊まで増加しており、滞在期間が長くなる傾向が表れているという。

西山氏

 また、西山氏は個人旅行の戻りの速さも指摘。ドイツ観光局が主な旅行会社・ランドオペレーター計6社に回復の見通しを尋ねたところ、FIT特化型の旅行会社は200%・70%と回答した一方で、パッケージツアーを取り扱う会社は24.5%・50%、ランドオペレーターは40~60%・28~42%と回答したことを紹介した。

 このほか、西山氏が日本市場は地方の小都市に訪問を希望する旅行者が多い「成熟市場」であることを改めて説明。そのうえで食文化や伝統、風習などに注目し、地方を巡る「文化ツーリズムが人気」と語り、「そうした旅行は地方の文化や経済に寄与できる。日本人の旅行は意識せずともサステナブルなものになっている」と分析した。

 こうした現状から、2024年は高所得者層やアクティブリピーター向けのツアー造成を促すため、旅行会社を通じた需要喚起策を積極的に実施する方針。BtoB向け施策として、ワークショップや旅行会社向けウェビナーを実施するほか、7月と10月にドイツ研修旅行を企画担当者向けにおこなう。

 加えて、今年が日本支局開局50周年であることを記念し、下期に旅行会社向けのドイツツアーインセンティブ企画を実施。10月から25年3月の期間にドイツのみを巡る、「世界遺産」「サステナブル」「文化&芸術」の3テーマを含むツアーを対象に、旅行者に配布できるようにドイツ産のミニオンズのグミを贈呈する。ツアーはパッケージ、FIT、MICEなどの縛りはなく、1社1ツアーのみ応募できる。先着1000名分の商品が無くなり次第企画は終了する予定で、現在応募受付中だ。

レセプションではドイツ観光局本局や、懐かしい人たちからのビデオメッセージを放映。写真はオクトーバーフェストを日本に根付かせた前局長のピーター・ブルーメンシュテンゲル氏

 また、BtoC向け施策として「円安や価格高騰により欧州旅行に手が出しにくくなった中間層」に対し、オンラインメディアやソーシャルメディアを活用した中期的な関心喚起キャンペーンを実施する。

 すでに「ユネスコ世界遺産」「文化と芸術の国」でキャンペーンを実施中で、9月からは昨年に続いて「FEEL GOOD」をアピール。特に日本人への訴求力の高い世界遺産については、ゲーテ街道と協業でフォートラベルでキャンペーンを実施しているほか、TikTokやYoutubeで広告を配信する。このほか、2025年の欧州文化首都に選ばれた「ケムニッツ」や、7月半ばまでEURO2024、10月にクリスマスマーケットを取り上げる予定だ。

ドイツのSNS活用、カギは「キラー画像」か

大畑氏

 プレス発表会ではドイツ観光局広報マネージャーの大畑悟氏が、毎年恒例となったソーシャルメディアのトレンド分析を発表。ドイツ観光局として注力しているX(旧Twitter)のフォロワー数が約21万4500人となったことなどを報告した。

 23年の成果としては、1投稿あたり平均7万インプレッション、1200の「いいね」、2400のエンゲージメントがあることを紹介。ただし今年からX社のアルゴリズムにより、「おすすめ」に人気かつ無関係のポストが表示され、公式ポストのインプレッション・エンゲージメントが減少していることを課題としてあげた。今年1月から5月の1投稿あたりの平均を見ると、5万インプレッション、1000の「いいね」、2000のエンゲージメントに減少したという。

 大畑氏は今年のTOP3ポストについて紹介。1位は「ノイシュヴァンシュタイン城の世界遺産登録申請」、2位は「ドレスデンの世界一美しい牛乳屋さん」、3位は「東フリースラント地方の紅茶文化」だったという。

 大畑氏は1位は有力なニュースをリアルタイムで投稿したこと、2位は有名観光地のスイーツと宮殿のギャップ、3位は希少情報を掘り起こしたことが評価されたと分析し、今後は「アルゴリズムの強化に加え、強い印象を与える『キラー画像』の掘り起こしが重要では」と解説。協賛企業や予約サイトとの連携強化、旅の予約につながるコンテンツ配信増加にも引き続き取り組むとした。