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訪日3か月連続300万人越え、旅行会社に「地方の旅行商品化期待」-髙橋長官会見

  • 2024年6月19日

 観光庁の髙橋長官は19日定例会見を開催。同日にJNTOが発表した5月の訪日外国人数が304万100人を記録し3か月連続の300万人越え、5月としては過去最高を更新したことなどを受け「(インバウンド旅行は)力強い成長軌道に乗っている」と強調した。出国日本人数含め19年比の数値は以下の通り。

24年訪日外国人数・出国日本人数(対19年比)
訪日外国人数出国日本人数
2019年2024年対19年2019年2024年対19年
1月2,689,3392,688,478100.0%1,452,157838,58157.7%
2月2,604,3222,788,224107.1%1,534,792978,88463.8%
3月2,760,1363,081,781111.7%1,929,9151,219,78963.2%
4月2,926,6853,042,900104.0%1,666,546888,76753.3%
5月2,773,0913,040,100109.6%1,437,929941,70065.5%
6月2,880,0411,520,993
7月2,991,1891,659,166
8月2,520,1342,109,568
9月2,272,8831,751,477
10月2,496,5681,663,474
11月2,441,2741,642,333
12月2,526,3871,712,319
1~5月13,753,57314,641,500106.5%8,021,3394,867,70060.7%
1~12月31,882,04920,080,669

出典:日本政府観光局(JNTO)

 訪日外国人数の国・地域別では、23市場のうち、韓国、台湾、香港、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧、中東の19市場において5月として過去最高を記録。インドは単月過去最高を更新した。

 残る4市場のうち、19年同月比72.1%と回復率では最も遅れを取っている中国市場だが、日中間の往来回復と観光交流の深化を目的に髙橋長官は今月訪中。JNTO主催の現地商談会に出席したほか、中国文化旅游部(政府機関)、OTA大手Trip.comグループを訪問し地方部への誘客を要請し、文化旅游部とは日中韓観光大臣会合の早期開催に向けて合意が得られたという。開催日は未定であるものの、日本での開催を予定している。

髙橋一郎観光庁長官

旅行会社通した
新たな旅行需要創出に期待

 観光庁が先月末に発表した23年度主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計では、昨年度の総取扱額が19年度比79.5%、22年度比124.8%の約3.63兆円だったことを受け、長官は「全体として回復傾向にある」との認識を示した。一方で、そのうちの募集型企画旅行の取扱額は約7928億円。これは19年度比で62.0%に留まっており、全体数に対し回復が遅れる結果に。その要因として髙橋長官は「手配旅行の増加」を指摘するとともに、23年度の日本人延べ宿泊数の伸びに対し同年度の主要旅行業者の国内旅行取扱額がビハインドしたことから「一部需要がOTAなどに移っている」との見解を述べた。

 続けて髙橋長官は、旅行会社に対し「これまでの経験や知見を活かし、DMOなどと連携を行い地方の新たな観光資源の発掘、磨き上げ、旅行商品化を先頭に立ってぜひ進めていただきたい」とコメントするとともに、旅行会社ならではの高付加価値な旅行商品造成などを通し「旅行会社を経由した新たな観光需要の創出に取り組んでいただきたい」と期待した。

観光レジリエンスサミット
11月に仙台で開催へ

 先月28日、観光庁はUN Tourism(世界観光機関)との連携により国際会議「観光レジリエンスサミット」を11月9日から3日間に掛けて仙台で開催することを発表した。会見で髙橋長官は「観光分野におけるレジリエンス強化は世界共通課題」との認識を示すとともに「将来の危機に備えて、より強靭な観光を実現することについて議論を行いたい」と意気込みを語った。

 また、仙台開催となったことを踏まえ「国連防災世界会議が開催されたなど、防災の拠点としても世界的に著名な都市である仙台から、我が国が蓄積をしてきました観光、レジリエンスの経験を各国と共有し、取り組むべき政策を日本主導で世界に発信していきたい」と続けた。同期間には、各国からの参加者に対し東北地方の観光資源の体験を目的としたエクスカーションも実施される予定だ。