LGBTQ+旅行団体「IGLTA」今秋大阪でアジア初となる世界総会を開催、日本市場拡大で大きなチャンス-IGLTAジョン・タンゼラCEO

 世界的なLGBTQ+の旅行業界団体「IGLTA (The International LGBTQ+ Travel Association)」は今年秋、大阪でアジア初となる世界総会を開催する。世界的にはLGBTQ+旅行市場は年々拡大しているが、日本は認知や普及も含めて発展途上。IGLTAは、大阪大会を契機に、日本およびアジアでの市場拡大とビジネスの成長を目指す。そのIGLTAの活動や日本市場への期待について、来日したジョン・タンゼラCEOに聞いた。

ジョン・タンゼラCEO
-まず、タンゼラCEOご自身のご経歴をお聞かせください。

ジョン・タンゼラCEO(以下敬称略) ボストンが生まれのイタリア系アメリカ人で、アメリカやイタリアで数カ所に住んだことがあります。航空業界、観光局など旅行業界に長年にわたって従事してきました。ワシントンでは人権活動にも携わったこともあります。IGLTAでは、17年間にわたって会長を務めています。

-IGLTAの成り立ちについて教えてください。

タンゼラ IGLTAは、まだカミングアウトが難しかった時代、ゲイクライアント向けに安全な旅を提供することを目的に1983年に米国で創設されました。当初は、米国とカナダの25社の旅行関係者で小さな集団でしたが、現在は82カ国まで拡大し、13カ国にIGLTAのスタッフがいます。旅行会社、観光局、航空会社、クルーズ会社とパートナーを組み、VirtuosoやSignature Travel Networkなど旅行コンソーシアムにも参画。また、ITBやワールド・トラベル・マーケットなど年間62ほどの旅行イベントともコラボレーションしています。

 PATAとも協力関係を持ち、旅行業界向けのトレーニングプログラム、多様性に関するトレンドの調査などで協力しています。さらに、世界観光機関(UNWTO)と関係を持つ唯一のLGBTQ+団体でもあります。 このほか、IGLTA年次世界総会に加えて、インド、南アフリカ、ブラジルで地域レベルでの大会も毎年開催しています。

 東京、ニューヨーク、ロンドンなど成熟したLGBTQ+都市ではスポーツイベントや会議などを開催している一方、インドなど途上国では、ワン・トゥ・ワンの教育プログラムを提供し、市場動向や市場へのアプローチ手段、LGBTQ+団体との協力関係構築の方法などを伝えています。IGLTAは82カ国に約1万3,000人の旅行専門家(トラベル・アドバイザー)ネットワークを持っているのも大きな強みです。

-IGLTA会員になるための条件を教えてください。

タンゼラ まず、世界総会は会員でなくても参加することができます。会員条件では、何よりもすべての旅行者に安全でホスピタリティのある旅行体験を提供しているかが重要です。そのほか、IGLTA会員組織とは別にIGLTA Accredited という認証プログラムもあり、ホテルに対しては8項目の認証評価チェックリストを設けています。その認証評価については、まもなく観光局に対しても始めます。実際のところ、まだアジアでの認証ホテルは他地域に比べて少ないのが現状です。

-日本の旅行会社がLGLTAに加盟した場合、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。

タンゼラ 基本的にBtoB組織ですので、グローバルネットワークに加わることができることが大きなメリットになります。年間を通じてサプライヤーとバイヤーとの関係が構築でき、年次世界総会だけでなオンラインのネットワーキングイベントにも参加することができます。

 また、レインボーカラーの認証ロゴを使用することも可能になります。それは、LGBTQ+旅行者に対して、安心感を与えるものになるでしょう。

 さらに、特に予算が限られている中小企業向けには、マーケティング支援やSNSでのさまざまなプロモーション支援も行っています。会員になれば、公式ウェブサイト上で、プロダクトを無料で掲載し、グローバルにPRすることも可能です。

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