オーストラリアが今年も現地商談会、回復順調、業界と協力しさらに伸長へ
オーストラリア政府観光局(TA)は5月19日から24日まで、ビクトリア州メルボルンで毎年恒例の現地商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)」を開催している。全世界からバイヤーが集まって国内のセラーと商談を交わすもので、今回は44回目の開催。今回はバイヤーが37ヶ国から600社714人、セラーが621社1500人参集し、合計5万件以上の商談を実施する。日本からもバイヤーが26人、メディアが5人参加している。
オーストラリア連邦政府で貿易・観光大臣を務めるドン・ファレル氏は、開幕の挨拶で「オーストラリアへのインバウンド市場は3月末までの1年間で(コロナ前の)82%、3月だけなら91%まで回復した。年内に完全に回復する予測だ」として好調さをアピール。活発な商談を通してさらなる増加が可能と期待を語った。
TA総局長のフィリパ・ハリソン氏によると航空路線の回復も顕著で、特に韓国とインドは過去最大の路線網が実現しており、これによって訪問者数もすでに2019年超え。日本もヴァージン・オーストラリア(VA)の羽田/ケアンズ線新規就航などもありキャパシティはコロナ禍前の水準に戻っているところだ。
日本はシェア拡大、旅行業界との連携重視
日本からの訪問者数は、2024年3月までの12ヶ月間で34万3540人となり2019年通年の49万8640人と比べると31%減。韓国の18%増、米国の13%減、シンガポールの22%減などと比べると遅れを取ってはいるが、日本からの海外旅行市場は45%減でありそうしたなかでは先行できている状況だ。
TA日本・韓国地区局長のデレック・ベインズ氏は、特に2月は8%減、3月も16.2%減と順調だったことを紹介しつつシェアの拡大を評価。好調さの背景については、米ドルやユーロなどと比べて円安が進んでいないことや安心安全のメリットがあるとしたほか、コロナ禍でもなるべく早い段階からマーケティング活動を再開したことがスタートダッシュに繋がった可能性があると語った。
具体的には、「コロナがいつ終わるかわからない中でも、できるだけ早く業界の皆さんと接触しながら回復を計画し、プロモーションもできるだけ早く再開しようとしていた」といい、その結果として2022年4月にはオーストラリア側の開国を契機に「ワクワク大陸、いよいよ再開。」のキャンペーンを展開しさらに10月には現在も続くグローバルキャンペーン「『「グッデイ!」ではじめよう、オーストラリア』」を開始した。この「グッデイ!」キャンペーンでは、制作したショートフィルムがロサンゼルス国際映画祭でベスト・ショートフィルム・アニメーションも受賞するなど好評で、今後も数年間は継続していく方針という。
今後も、さらなる回復に向けて業界との連携を密にし各種のキャンペーンなどを実施していく考え。ちなみにこの旅行業界を重視する姿勢はハリソン氏もプレゼンテーションで表明しており、「生成AIの登場などによりサプライヤーとの直接取引の流れがあるように見えるが、実は多くの消費者が海外旅行に際して人に相談したいと願っている」として商談会の意義に自信を示していた。
会場内の取材では、南オーストラリア州が日本からアデレード空港への直行便就航を目指して日系航空会社に働きかけていることなど、今後の成長が期待できる話題も多く聞かれた。各州の現状と今後の方針は近く別のレポートとして掲載予定だ。