ニューカレ、シニアやSITなど強化、マラソン川内優輝選手も起用-現地騒乱は注視

  • 2024年5月15日

 ニューカレドニア観光局はエアカラン(SB)の協力のもと5月14日にメディア向けセミナーと懇親会を開催し、マーケティング戦略や方針、市場動向などについて説明したうえで更なるメディア露出増へ協力を呼びかけた。

(右から)川内優輝氏、礒村真介氏

 冒頭では、本局で総局長を務めるジュリー・ラロンド氏がビデオメッセージで挨拶し、コロナ禍を経て旅行市場が変化し日本からの旅行者では年々シニア層が増加し、50代のカップルや母娘、3世代なども増えていることを紹介。また楽しみ方も多様化しているとし、今後は青い海と白い砂浜という象徴的な素材に加えてフランス文化と伝統のカナック文化の融合を楽しめるローカルイベントなどニューカレドニアならではの体験にも目が向いてほしいと期待を示した。

 日本市場におけるマーケティング活動では、「成田路線の維持と増加」「長期的ビジョンの設定」「現地商品ラインナップの拡充」「メディアシャワー(集中的なメディア露出)戦略」「異業種との協業による新規マーケットへのアプローチ」を基本方針とし、その実現のため滞在日数の引き上げやヌメア以外への需要分散、プロダクトの多様化、ブランディング強化に取り組んでいく。

ニューカレドニア観光局日本支局長の斉藤麻帆氏

 セミナーの主目的であるメディア関連では、昨年下半期だけでテレビや雑誌、デジタル媒体などで30件以上の露出を実現。そして今年も合計3回のメディアFAMを計画しすでに1回は実施。残る2回ではそれぞれ「ガストロノミー」と「アウトドア」をテーマに設定し、前者はフランス料理だけでなくニューカレドニアのカウボーイ「ブルサール」の農業祭やカナックの「ヤムイモ暦」と伝統料理「ブーニャ」も取り上げる。後者では名物ガイドとのカヤック体験、山でのトレッキング、離島でのスノーケリングなどを盛り込む予定だ。

 またSITの需要獲得の一環でスポーツへの取り組みも強化。セミナーでは、トレイルランニングの大会ウルトラ・トレイル・ニューカレドニアへの参加経験もある「トレイルライター」の礒村真介氏と、さらにニューカレドニア国際マラソンのアンバサダーとして起用したマラソン選手の川内優輝氏も登壇。両氏は各大会がごく気軽に参加できてニューカレドニアを楽しみながら走ることができる魅力を説明した。

 特に川内氏は、ニューカレドニア国際マラソンが世界を意識しマラソン競技に本腰をいれるきっかけとなったこと、一緒にアンバサダーに就任した妻の侑子氏との出会いも最初の同大会だったこと、国内旅行業務取扱管理者の資格を取得するほどの旅行好きでニューカレドニアも大会後に満喫したことなどを紹介。日本人参加者同士の結びつきが強くなるのも魅力だとし、川内氏自身も現地での交流の機会に可能な範囲で協力するとして旅行会社に積極的な企画を呼びかけた。

川内優輝氏

 日本からニューカレドニアを訪れる日本人の数は、2023年は通年で2019年比67.2%減に留まったもののビーチデスティネーションのなかでは健闘したとの認識で、今年も更なる回復を見込む。懇親会で挨拶に立ったSB日本支社長の中田茂氏は、円安が続く中でも日本での販売が第1四半期は好調に推移して前年の2倍となり、第2四半期は足踏み状態となっているものの夏の第3四半期は「絶好調」で、8月には週3便を週4便へと増便する計画であることも明かした。現在は5000CFP(6000円相当)の割引クーポンを提供する「なっ得!いっ得!ニューカレ!キャンペーン」を展開中だが、7月17日までとしていた期間を7月31日までへと延長するほか、新たなキャンペーンも予定しているという。

現地で暴動発生、まずは状況注視

 ちょうどセミナーが開催された5月14日には、憲法改正を巡る抗議活動が現地の一部地域で激化しヌメア国際空港が閉鎖されたほか夜間の外出禁止令が発出されるなど状況が混乱。観光施設は通常通り営業し日本人旅行者が多く宿泊するアンスバタ地区でもトラブルは発生していないものの、SBが5月15日分の成田路線を欠航するなど影響はすでに生じている。

 現地観光局としては離島から本当への旅行者の移送を含めたサポートに尽力しているところで、日本側では状況を注視するしかない段階であるものの市場に対する情報やメッセージの発信も早期に実施したいとの考えを示している。