2月訪日者数はコロナ以降最多、業界内の賃上げの動きに期待感-髙橋長官会見
観光庁の髙橋長官は19日会見を開いた。足元では、2月の訪日外国人数は278万8000人。うるう年の影響で日数が1日多かったことに加え、昨年は1月であった春節が今年は2月中旬となったこともあり、単月ではコロナ以降最多、2月としては過去最高を記録。国・地域別では、台湾、ベトナムが単月過去最高を更新した。
2月の中国からの訪日外国人数は19年同月比63.5%の45万9400人。19年同月からの回復率で見れば、主要23市場の内、中国はロシアに次いで2番目に悪かった。髙橋長官は「中国からの訪日者数の多くを占める若年層が相対的に景気悪化の影響を受けやすい」ことなどを要因として挙げており、同市場に対しては引き続きプロモーションを行う考えだが、「頭数だけではなく消費額や宿泊者数など様々な観点から総合的に状況判断しなくてはいけない」と慎重な姿勢を示した。
一方のアウトバウンドでは、昨年3月に発表された「アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」から1年が経過し、現状は「急速に回復しているという状況ではないが、着実に戻ってきている」との評価で、回復に向けて今後各国政府観光局との連携を強化する方針で、「市場ごとに分析し、それぞれに必要な情報発信や連携を進める」(髙橋長官)。
月 | 訪日外国人数 | 出国日本人数 | ||||
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2019年 | 2024年 | 対19年 | 2019年 | 2024年 | 対19年 | |
1月 | 2,689,339 | 2,688,100 | 100.0% | 1,452,157 | 838,581 | 57.7% |
2月 | 2,604,322 | 2,788,000 | 107.1% | 1,534,792 | 978,900 | 63.8% |
3月 | 2,760,136 | 1,929,915 | ||||
4月 | 2,926,685 | 1,666,546 | ||||
5月 | 2,773,091 | 1,437,929 | ||||
6月 | 2,880,041 | 1,520,993 | ||||
7月 | 2,991,189 | 1,659,166 | ||||
8月 | 2,520,134 | 2,109,568 | ||||
9月 | 2,272,883 | 1,751,477 | ||||
10月 | 2,496,568 | 1,663,474 | ||||
11月 | 2,441,274 | 1,642,333 | ||||
12月 | 2,526,387 | 1,712,319 | ||||
1~2月 | 5,293,661 | 5,476,100 | 103.4% | 2,986,949 | 1,817,481 | 60.8% |
1~12月 | 31,882,049 | 20,080,669 |
国内では、北陸応援割がスタート。観光庁が大手旅行会社に対し行ったヒアリングによると、北陸4県における3月の宿泊予約数が19年同月を大きく上回るなど、「政策効果が表れている」(髙橋長官)。業界内でも、日本観光振興協会が関係企業や団体などと情報発信を行うなど、各所からプロモーションが展開されており、高橋長官は「引き続き官民一体となって切れ目なく取り組んでいくことで、北陸4県の観光振興に繋がることを大いに期待したい」と語った。
業界内の賃上げの動きに期待感
業界では今月、パレスホテル、HIS、日本旅行など、企業による賃上げのニュースが相次いだ。髙橋長官も、観光需要の回復に伴う人手不足の課題に対しては、待遇改善が「非常に重要、不可欠」と訴えており、この動きを加速させるべく観光庁でも「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」などを通し、収益性向上を図るとともに、業務効率化、省人化へ取り組みを強化する。
他産業でも賃上げの動きが本格化する中で、髙橋長官は「他業界に遅れを取ることなく賃上げの流れを生み出し、しっかりと担い手を確保することが観光産業を持続可能なあり方で発展をさせていくために本当に大事な鍵となる。(国としても)しっかりやるべきことを行い、この機を捉えて、業界での積極的な取り組みを心から期待したい」と述べた。