国内旅行消費額は政府目標達成、「国際観光旅客税」の使途変更は?日観振の提言受け-髙橋長官会見
観光庁の髙橋長官は21日会見を開いた。足元では、1月の訪日外国人数は268万8100人、能登半島地震による影響が一部見られたもののコロナ禍前とほぼ同数を記録した。国・地域別で見れば韓国、台湾、豪州では単月過去最高を更新。その他、シンガポール、インドネシア、フィリピン、米国、カナダ、メキシコ、中東地域では、1月において過去最高を記録した。
一方、1月の中国からの訪日者数は41万5900人、19年同月比55.1%だった。昨年11月が34.4%、12月が44%だったことから回復傾向であることは間違いない。2月の春節期間については詳細結果などは出ていないものの、JNTOを通した現地旅行会社へのヒアリングによれば、「1月の回復率よりも更に高くなるのでは」との見立て。
月 | 訪日外国人数 | 出国日本人数 | ||||
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2019年 | 2024年 | 対19年 | 2019年 | 2024年 | 対19年 | |
1月 | 2,689,339 | 2,688,100 | 100.0% | 1,452,157 | 838,600 | 57.7% |
2月 | 2,604,322 | 1,534,792 | ||||
3月 | 2,760,136 | 1,929,915 | ||||
4月 | 2,926,685 | 1,666,546 | ||||
5月 | 2,773,091 | 1,437,929 | ||||
6月 | 2,880,041 | 1,520,993 | ||||
7月 | 2,991,189 | 1,659,166 | ||||
8月 | 2,520,134 | 2,109,568 | ||||
9月 | 2,272,883 | 1,751,477 | ||||
10月 | 2,496,568 | 1,663,474 | ||||
11月 | 2,441,274 | 1,642,333 | ||||
12月 | 2,526,387 | 1,712,319 | ||||
1~1月 | 2,689,339 | 2,689,339 | 100.0% | 20,080,669 | 838,600 | 57.7% |
1~12月 | 31,882,049 | 20,080,669 |
同日には、「旅行・観光消費動向調査」日本人国内旅行消費額の2023年間値速報が発表された。それによると、日本人国内延べ旅行者数は4億9733万人(19年比84.7%)、1人1回当たりの旅行支出は43,995円(19年比117.8%)となり、消費額は21兆8802億円(19年比99.8%)を記録し、観光立国推進基本計画による「国内旅行消費額20兆円の早期達成」との政府目標に達した。
全国旅行支援や物価上昇が単価を押し上げた一方で、延べ旅行者数の内、宿泊旅行は19年比91.2%、日帰り旅行は78.5%。その中でも、髙橋長官は「出張目的での日帰り旅行者数の回復が遅れている」と懸念した。
観光庁では、引き続き地域の観光資源の磨きあげや高付加価値化などの取り組みを進めるなかで、「日本人の国内観光旅行の促進、消費の拡大もしっかりと進めていかなくてはならない」(髙橋長官)。
日観振からの提言を受けて
今月8日、日本観光振興協会が髙橋長官を訪問し「観光の価値向上と持続可能な観光産業に向けて」との提言を提出したことは既報の通り。提言では国際観光旅客税の使途に関しても触れられており、アウトバウンドの促進及び、DMOの機能強化のために活用すべきとの言及がされている。
これに対し髙橋長官は、国際相互理解や日本のソフトパワー向上、観光地域づくり、地方誘客を背景に、アウトバウンド促進とDMOの重要性は認めつつも、現時点で議論は進んでいない。今後「国際観光旅客税を活用するということが、最も適しているのかどうかも含めて考えなくてはいけない」との認識を示した。