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能登で生まれ育った観光事業経営者が考える、能登復興の在り方とは?- リバイタライザーズ 小田 與之彦 氏

  • 2024年2月19日

 震災発生より1か月半が過ぎ、国や地方行政、災害ボランティアの支援も徐々に拡大してきているものの、かつての景色からは程遠い状態と言わざるを得ない。ただ、今後の能登の復興とは、かつての状態に戻ることが正なのだろうか? 能登を基盤に長年観光事業に携わってきた、株式会社リバイタライザーズの小田與之彦氏に考えを伺った。

-最初に自己紹介をお願いします。

小田 與之彦 氏(以下敬称略) 1968年生まれの55歳です。石川県で生まれ育ち、高校まで過ごした後、慶応大学商学部に進学し、丸紅の運輸部に勤務していました。その後アメリカに留学し、コーネル大学ホテル経営大学院に進学、その後家業である加賀屋に入職しました。

 2014年に社長就任、2022年には加賀屋を退職し、現在は福井県のあわら温泉にある旅館「つるや」の経営や、宿泊施設などをクライアントとした事業をする株式会社リバイタライザーズの経営をしています。また、観光業とは関係ないですが、日本青年会議所(JC)の第57代の会頭も担ったことがあります。

-ご自身の会社、リバイタライザーズについてお聞かせください。

小田 元々は加賀屋を経営しているときにつくった会社です。加賀屋は大規模の宿泊施設ですが、町屋を再生した一棟貸しや富山にある「職人に弟子入りできる宿」であるBed and Craft を知り、石川で盛んな伝統工芸と小規模宿泊施設をうまく融合させて新しいニーズや文化を作っていきたいと考え、立ち上げました。社名は「(今まであったものを)蘇らせる・元気にさせる」という意味を込めました。

 主な事業内容は、宿泊施設やリゾート施設の運営受託や経営支援、地域振興です。例えば、運営受託では、せとうちDMOから受託した広島県内のホテルの運営などを通して、仕組みをつくりながら人を動かし、顧客満足度を高める運営を浸透させるようなお手伝いをしています。

 その他、福井のあわら温泉で「つるや」という旅館の経営もしています。この地域で最初にできた旅館の一つで、創業140年になります。5年ほど前に当時の経営者の方から後継者がいないと相談を受け、株式取得させていただいたという経緯があります。名棟梁が手がけた、昔の粋なものが継承されている和風旅館です。

-震災の影響はいかがでしょうか。

小田 地震発生後はキャンセルが相次ぎました。売上・人数ベースで約1か月弱の損失となりました。新規予約も一時期止まっていましたが、1月の最終週くらいからまた入り始めました。3月半ばには北陸新幹線の金沢 ー 敦賀間が延伸するので、問い合わせの数も戻ってきており、「行って応援」という空気感に変わってきたように感じます。

-復興への活動もされていると伺いました。

小田 1月3日には福井から能登入りしましたが、通常2時間の道が5時間かかりました。今も道が割けたところこそ車が入れるようにアスファルトを入れていますが、建物自体はまだゴミも運び出せていないような状況です。

 一方、金沢や富山の南西部は一部液状化したとの話も聞いているが、「これからどうなってしまうのか」というような雰囲気はありません。七尾や和倉に入る手前までは比較的被害は少ないです。金沢は夜などは歓楽街もまだ静かだと聞きますが、昼間は既に日常風景に戻っていて、そのギャップが大きくて不思議なくらいです。