社員の定着を促す「育成評価制度」とその実践法-縁多 日比野元哉氏
観光産業に携わる皆さん、新年あけましておめでとうございます。いよいよ2024年新たな時代と言われています「風の時代(※1)」が本格的にスタートしますね!
早速ではございますが、縁多 日比野がお届けしています宿泊事業者の皆様応援企画の第二回目は、皆様が直面する「人材不足」という課題解消に向けた取り組みについての考え方をお話します。
前回も少しお伝えしましたが、「人材不足=離職率の改善」という「課題解消」には、大きく分けると二つの取り組みが必要です。
一つ目は、人材育成として着手するのは新人教育ではなく「管理者教育」であること
二つ目は、この組織の一員でいたいと思わせる「仕組み」を持つこと
ここでいう「仕組み」とは簡単に言えば「育成評価制度」です。
なんだ「評価制度か!」と感じられた方、「育成型」評価制度を構築し、実務稼働できていますか?
ただ単に会社として社員の方々の日頃の頑張りを観察して、良し悪しを数値化するものではありませんよ!
「育成型」評価制度は、従業員の方々がそれぞれの現在地から、どの様なプロセスを経て、どこに辿り着けることが望ましいか?を会社と共に考え、従業員一人一人が「目標=ありたい姿」を具体的に描けるものです。
この会社で、何年間高い意識で勤めれば、どの様なスキルが身につき、どれくらいの仕事ができる様な自分になるのか。具体的に想像させることができる『自己成長ロードマップ』を一人一人に渡せるかどうかが大切です。
その上で、この組織の一員であれば自分が成長できる=理想の自分に辿り着けると感じられるかどうかが大きなポイントです!
米国の心理学者A・マズローが1954年に発表した「マズローの五段階欲求」って聞いたことありますか?マーケティング分野でよく使われます。この機会に覚えておくといいですよ。
図の三角形の下の部分が満たされると、欲求は上に上がっていきます。全ての説明は省略しますが(マズローの五段階欲求で検索してみてください)、図の上から2番目の緑部分は、「社会的欲求」「承認欲求」です。これを満たすためには、しっかりと評価基準(共有できるものさし)を持つことが重要です。
人それぞれ頑張っているのは当たり前、でも周りから評価されない。それぞれは頑張っているつもりでも会社から認めてもらえないと声を聞くこともあります。
その場合、多くは基準値が明確に示されていないケースが多いのです。当然ながら感覚だけで良し悪しを責任者が判断していれば、好き嫌いで評価が分かれてしまいます。
評価をするための「基準」が明確に定まっていなければ評価制度そのものが絵に描いた餅ということです。
図の一番上の「自己実現欲求」ですが、高い意識を持って日々過ごしてもらうためにもどれだけ先々に目指すべき“もの場所”があるのかを、できる限り明確に示しておく必要があります。
どの段階でどの様な実務経験が必要で、どの様な知識を得る必要があるのかを、段階毎に示します。それを従業員の方々が自ずと理解し、適正な時間を過ごせる環境を整えてあげる必要があります。
後にご説明しますが、報酬には給与だけでない「知識や知恵」、さらには「経験や資格」を得られる【制度】というものとリンクすると効果的だと考えます。