チャットでの旅行販売手掛けるNinNin 宿泊施設向け予約システム展開、直販への根本課題は?
急増する訪日外国人旅行者の影響で、宿泊施設においてはデジタル化による情報管理や生産性向上が急務で、観光庁でも令和6年度の予算概算要求で4億円を要求する「観光地・観光産業における人材不足対策事業」にて、スマートチェックインやチャットボット、予約等管理システム(PMS)等の設備投資の推進を予定する。そんな中、観光業界の各企業の公式サイトについて「改善の余地が大きい」と話すNinNin代表の横田啓介氏は、コロナ禍の2021年に宿泊事業者向けの予約システム「タビチャットエンジン」をリリース。既存事業でOTAとしての立場を持つ同社が直販システムの提供に至った経緯などについて伺った。
横田啓介氏(以下敬称略) 公式HPからの予約数を上げることを目的とした、宿泊施設向けの予約システムで、22年1月に正式リリースを行いました。既存の宿泊予約システムは、特にスマホの場合使いづらかったり、価格がわかりづらいものが多いですが、このシステムは直感的で簡単な入力操作、且つわかりやすい価格表示で公式サイトからの予約完了率を大幅に改善します。
リリース前に「UX上げたら自社予約は伸びるのか?」という観点から半年程知り合いの施設でテストを行い、結果として直販での予約数は20%増加。電話問い合わせの減少にも繋がりました。リリース直後の導入施設は主にスモールラグジュアリーからスタートし、現在は大小幅広く250以上の施設に導入いただいています。
横田 当社はコロナ前まで、ワンプロダクトでとにかくエッジの効いたサービスを目指し事業を続けてきました。そんな中で、業界としてのデジタル化の遅れを感じるとともに、そこを改善することによる効果体感があったこと。また、これまでの既存事業での試行錯誤で得たものが宿泊施設向けにも活かせると感じました。
宿泊施設に限った話ではありませんが、観光業界の各企業の公式サイトはシステム自体が古かったり、UXの改善余地が大きいものが多いです。そこを当社の海外旅行手配のシステム、ノウハウを一部流用することで、「安く」「高品質」でサービス提供が可能ですし、特にスマホから旅行商品を選んで、予約するユーザー体験の強化に寄与できると考えたのです。
横田 根本課題は人手不足。システムでの改善余地はあるものの、直販予約の強化まで手が回っていないのが実情かと思います。ただ、そのシステムを使いにくいままにしておくと、当然問い合わせも増える悪循環になりかねません。
そういった意味では、使いやすくわかりやすいものへと変えていくことが、結果として予約に関する問い合わせや電話対応などを減らすことになりますし、人手不足の問題を解決することにも繋がってきます。
直販を伸ばす施策は多岐に渡りますが、まずは使いやすさを最優先に自社サイトを改善し、対OTAで比較したときに低価格や付加サービスを提供することでサイト訪問者の予約率を伸ばし、その後集客を強化していくことが最も効率的な進め方となります。