欧州観光委員会CEOに聞く、日本市場の開拓方法とは?旅行会社に期待、サステナブルツアーの訴求も
ツーリズムEXPOジャパンに合わせて欧州観光委員会(ETC)CEOのエドゥアルド・サンタンデール氏らが来日し、業界紙向けのメディアブリーフィングを開催した。ETCは1948年に発足した欧州35ヶ国の政府観光局からなる団体で、日本を含む世界6ヶ所に拠点を有している。サンタンデール氏は「日本のトレンドや旅行者の変化について知識を深めるとともに、コロナ後の市場をいかに開拓して需要を創出するかという観点からEXPO出典は非常に重要」と話した。
コロナ後の欧州インバウンド市場については、回復基調にある北米に比べてアジアからの回復が遅い状況。ETCの調査によると、日本市場については欧州への旅行意欲は高いものの実予約には繋がっていない状況だ。サンタンデール氏はその理由として、円安や欧州のインフレなどによる旅行代金の高止まり、日本/欧州間の航空路線の回復の遅れなどをあげた。特に旅行代金の高止まりについては「いかにバリューのある商品をだし、プロモーションに繋げていけるかが重要」とし、「予約に繋げるためにギャップを埋めていきたい。我々の知性と知識パートナーシップを通じて、各観光局との連携でともにプロモーションを展開していきたい」と意気込みを語った。
今後は日本の消費者に加え、旅行商品を供給する旅行会社に対しても情報を発信していく予定。サンタンデール氏は「島国ならではマインドセットを踏まえ、欧州についてセキュリティ面では問題なく、安全な旅行先であるということを繰り返し発信したいきたい」とした。
また、欧州全体の多様性についてもアピールする。各国の観光局と協力して「ヨーロッパ」としての魅力を訴求するとともに、ローマやパリ、バルセロナやベニスといったメジャーな観光地に加え、まだあまり知られていない観光地への渡航も訴えていきたい考え。すでに米国からの旅行者の傾向として、滞在日数を伸ばしてメジャーな観光地以外に行き、地元との交流を重視したサステナブルな旅行を楽しむトレンドが出てきているという。
サンタンデール氏は日本人は歴史や伝統、食事、建築、音楽、世界遺産などのコンテンツに興味を示すことに触れ、コロナ後の旅行者の傾向の変化を踏まえつつ旅行会社とともに新規需要の開拓に取り組みたい考えを示した。特定の文化に興味がある日本人をターゲットにしたテーマ型の旅行も訴えたい考えで、「観光地を巡るのではなく体験を重視する」旅行をアピールしていく。複数の国を巡る場合も統一したテーマを訴求するとともに、サステナブルな観点から滞在型で地元住民との交流や、地産地消の食などを重視した商品も訴えたい考えだ。
サンタンデール氏は「金額的に周遊型商品が作りにくくなってきているので、サステナブルな旅行として新しい旅の形を提案することが重要であり、旅行会社と共通で取り込みたいこと」と強調。観光局・旅行会社と協力し、欧州全体の観光の回復に務めたい考えを改めて示した。