ブリティッシュ・エアウェイズ、24年夏は羽田ダブルデイリー化-新Cシート導入、大規模採用で人手不足解消も
ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は9月11日、今年日本就航75周年を迎えるに際し、英国大使館大使公邸でメディア向けのラウンドテーブルを開催した。合わせて来日したチーフ・コマーシャルオフィサーのコルム・レイシー氏は、就航75周年に喜びを表すとともに、2024年夏ダイヤにおいて羽田/ロンドン(ヒースロー)線をダブルデイリー化することを発表した。
BAの日本就航は、1948年に前身となる英国海外航空(BOAC)が英国/日本線を開設したのが始まり。今年の夏ダイヤでは羽田/ロンドン(ヒースロー)線を週11便を運航しており、冬ダイヤは週10便を運航する予定。現在はボーイングB787-9型機で運航しているが、冬ダイヤからはB787-9型機に加え新ビジネスクラスを搭載したB777-300ER型機も導入する。24年夏以降の機材繰りについては未定で、レイシー氏は「季節ごとの実績や需要傾向、経済活動の活発性などを参考にした上でスケジューリングを最適化する」とした。
24年夏でのダブルデイリー化は需要の回復を見込んだもの。レイシー氏は「ここ数年は厳しい向かい風にさらされていたが、昨今世界が回復基調にある」と説明。日本路線は英国発の訪日レジャーが好調で、ビジネス需要も回復しつつあるといい、今後も同様の傾向が続くとの見通しだ。
BAによれば、日本発についてはビジネス需要が堅調で、レジャー需要の回復に期待がかかるところ。レイシー氏は「ビジネス・レジャーともに今後景気がどうなるかによるが、はっきり言えるのは需要は両方の領域で回復している」と強調。日本線のビジネスクラスについては、出張目的のビジネス客に加え、定年退職した富裕層などのレジャー客も利用しているという。
こうしたなかBAでは9月1日から羽田線にファーストクラスを再導入したほか、10月31日からはB777-300ER型機にビジネスクラスの新シート「クラブスイート」を導入する予定。クラブスイートは直接通路にアクセスできる1-2-1構成で、扉を閉めれば個室化できる。収納スペースは4割増で、WiFiや化粧台、鏡、18.5インチの機内エンターテイメントスクリーンなどを備える。レイシー氏は「ここ3年カスタマーサービスの強化のための施策をおこない、地上施設・機材に投資を続けてきた」と説明。クラブスイートは現在ヒースロー発長距離便の約6割に展開しているという。
また、同氏は日本市場における販路について、直販と旅行会社経由の両面で今後も販売していく方針を改めて説明し、双方に投資を継続していくとした。直販と旅行会社経由については比率までは明らかにしなかったが「日本市場については旅行会社との関係を継続し、グローバル企業としてプレゼンスを強化していきたい」とした。
旅行会社経由についてはNDCに投資しており、アマデウスやトラベルポート経由でNDCコンテンツを提供しているところ。現在は「カスタマーサービスのうち87%がNDCで完結するようになっており、残りの13%は何らかの問題でコールセンター等に連絡が来る状態」とし、今後さらなるキャパシティとサービスの強化をはかるとした。
大規模採用で人手不足解消へ、SAFへの取り組み継続
レイシー氏はツーリズム業界において課題となっている人員不足についても言及。コロナ以前の座席供給量に戻すべく努力を重ねているとしたうえで、2022年には「BAの歴史が始まって以来の規模」という1万1000人の大規模採用を実施したことを説明した。パイロットについてはトレーニング費用をサポートするプログラムを展開し、確保に努めているという。同氏は「採用によりグランドハンドリングのキャパシティは十分」と自信を示した。
ただし、ドイツやフランスなどでは管制上の問題が発生しているほか、新型コロナでサプライチェーンに混乱があり航空機のスペアパーツが手に入らないなど運航に影響を与える課題もあるとし、「業界として対処していく必要がある」と話した。
また、同氏はサステナブルな取り組みについても強調。日本路線では燃料の10%をSAF(持続可能な航空燃料)にしているが、今後50%をめざして取り組みを進めていく方針だという。SAFについては需要が多く供給が追いつかないため、親会社のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)とともに生産拡大に向けて投資を継続。IAGでは2050年にはCO2排出量実質ゼロを掲げているが、前倒しを目指して様々な取り組みを進めていくとしている。