豪ノーザンテリトリー、ウルルなどで大型投資続々、日本市場へ期待も高く

  • 2023年4月30日

 オーストラリアのノーザン・テリトリー準州で、観光の目玉となるような大型の投資が次々に進められている。副首相で観光大臣も兼任するニコル・マニソン氏が来日し4月24日に東京で旅行業メディアや旅行会社の関係者にアピールした。

ニコル・マニソン氏

 オーストラリアを代表する観光地のひとつとして日本人にも人気の高いウルルでは、数年に渡って入念に準備されてきたボヤージズ・インディジネス・ツーリズム・オーストラリアの新しい光と音のショー「ウィンジリ・ウィル(Wintjiri Wiru)」が5月から開始。

 ウルルを背景に1000台以上のドローンやレーザー光線を組み合わせて仕上げるもので、先住民の歴史や文化、これまで紡いできた物語をテーマに設定。ウィンジリ・ウィルの名称も、「広い地平線を見渡す景色」を意味するウィンジリと「美しい」のウィルを組み合わせており、この地域を伝統的に所有してきたアナング族との綿密な協議のもと決定した。内容についてもお墨付きを得ている。

 ショーは1日に2回、「サンセットディナー」と「アフターダークショー」として開催。専用の観覧場所を新設しており、それぞれで提供する食事や軽食も先住民の食文化を体験できる内容とした。1名あたりの料金はサンセットディナーが385ドルでアフターダークのショーが190ドル。

 ウィンジリ・ウィルについてマニソン氏は、「新しいプロダクトの中でも最も誇るべきものの一つ」と強調。先住民の協力のもと、砂漠で生き延びるための方法や適切な行動の規則、土地に関する大切な教訓など先住民が口伝してきた創世記の神話などを踏まえたストーリーとしたことを説明するとともに、サステナビリティへの配慮などについても紹介した。

 このほかでも、ウルルのフィールド・オブ・ライトを監修したブルース・モンロー氏がキングス・キャニオン地域で新たな光のインスタレーションが完成。ガラス瓶を組み合わせた光の塔が69基並ぶもので、場所はルリチャ・ルックアウトとキングス・キャニオン・バー&グリルからすぐ。ディスカバリー・パークス-キングス・キャニオン・リゾートでの大幅改修や、キングス・クリーク・ステーションでのドローバーズ・ドリーム・グランピング・テントを含む大幅なアップグレードも実施されている。

 また、アリスス・プリングスでも国立のアボリジナルアートのギャラリーが連邦と準州の両政府の共同出資により設立される見込み。年内にデザインを承認し2024年に建設が開始される計画という。さらにアリス・スプリングスではラセターズ・ホテルも7000万豪ドル規模の投資を計画し5年で235室を増やす計画が発表されているほか、コンベンション・センターのアップグレードも検討中。新しいビジター・インフォメーション・センターも計画されている。

 さらに、ダーウィンでもララキア族の文化や工芸品をテーマにしたカルチャーセンターが数年内に完成予定であるほか、CBDとダーウィン・ウォーター・フロントを結ぶステート・スクエア地区付近でもアートギャラリーや新ホテルなどの再開発が予定されているという。

 マニソン氏は、「ノーザンテリトリーで、世界で最も古くから続いている文化やウルル=カタジュタなど圧倒的な景観を体感できる真にスピリチュアルな場所」であると語り、日本市場についても古くからの関係を強調。コロナ禍が終わり国内だけでなく海外からの需要も回復してきているものの道半ばであり、「生活における自由と自主性を取り戻し世界と再び繋がれる」ようになった今、「日本からのお客様の数が回復することを心待ちにしている」と語った。

 なお、エアーズロックリゾート内では、旧アウトバック・パイオニア・ホテルを20年以上ぶりに改装してアウトバック・ホテル・アンド・ロッジとして営業を再開。125室のホテル側では無料のWiFiやエアコン、レインシャワー、USBポート、スマートTVなどを配し、46室のロッジでは予算に合わせて利用可能なドミトリータイプの客室なども用意したという。