基幹産業として訪日と海外、両輪での発展を—伊藤俊輔衆院議員

  • 2023年4月12日

 「観光産業事業継続支援金支給法案」「コロナ債務減免法案」など、裾野が広い観光産業に対し中小企業も含めた救済をすべく法案提出を行ってきた立憲民主党。同党の伊藤俊輔衆院議員は2023年2月20日の衆議院予算委員会第八分科会での質疑において、困窮する観光産業中小規模事業者への支援などについて言及を行った。今回は観光産業の現状やネクストコロナに向けた対応について伊藤氏に考えを伺った。

伊藤俊輔衆院議員

-観光産業の現状をどう見ておりますでしょうか。

伊藤俊輔氏(以下敬称略) 与党を中心に国会では「観光産業は回復しつつある」というのが大方の見方かと思います。ただ、実際は観光産業の中で業種や規模によって、回復していない会社もあって、特に中小規模の事業者はいまだ厳しい状況にあると認識しています。

 コロナ禍の政府の対応としてはより広く、そしてスピード感を持って対応していく、という意識が強かった中で、企業の体力や努力に関わらず一律に事業者を助けてしまっているのではないかという声も一部あり、支援対象の線引きが難しく本来は助けなくてはいけない事業者に対して目が向けられていないと思っています。

-線引きの問題は非常に難しいですね。

伊藤 立憲民主党はGoTo事業の際にはその予算を事業者に直接給付すべきという意見でして、仰るようにその給付の線引きがとても難しいという議論がありました。

 現在は事業者が抱える債務をリスケもしくは減免できるよう働きかけていますが、例えばこの線引きについては一番身近な金融機関が一定のジャッジをしていくということが有効かと思います。「新しい事業に転換する予定がある」とか「減免が行われれば、あるタイミングで回復する見込みがある」など、何らかの基準のもと金融機関が減免の措置に乗り出せるというものです。

 与党としては減免はやりすぎだという考え方で、どうしても与党が対応を検討する際には選挙にも大きな影響を与えるであろう比較的大規模な事業者の意見が吸い上げられがちで、そうなると規模の大きな事業者は現在は回復しつつあるという中で、中小規模の支援を必要とする事業者は忘れられてしまい、時間が経つごとにより対策を講じることが難しくなっている状況です。

-ネクストコロナに向けた対策についてはどのようにお考えでしょうか。

伊藤 一つの大きな柱としては「デジタル化」。現状では事業者の皆さんには申請をいただかないと補助金や調整金を受け取れないですし、支援にも時間が掛かってしまいます。デジタル化によって行政側からスムーズに支援ができるような仕組み作りが必要と考えています。もちろん時間は掛かりますし、それこそどういった基準で判断するのか線引きの問題はあります。

 本来、経済政策とコロナの支援の2つは全く違うものとして認識をする必要があります。ですが大きな見方として、多少多く行き届いても使ってもらえさえすれば経済としてはプラスという考え方もできます。その考え方に立てば頑張って線引きに時間を掛けて事務コストを浪費するよりも、対象を広げてスピーディーに対応を行う方が良いのではないかと思っています。実際に当時コロナ給付金を現金かクーポンで支給するかで事務コストが膨大な費用になるということで二転三転しました。

 事務コストの問題も含めてですが、次のパンデミック等に備えてどういった補助金申請の仕組みやタイミング、スピード感が必要なのかという点を検証する必要があります。持続化給付金等の直接給付や雇用調整助成金等の支援の効果を含め、コロナ対策の検証というのは問題意識がある今の内に始める必要があると考えています。