ランデヴー・アン・フランス2023レポートPart1 本格的な復興を遂げるフランス・インバウンド市場
フランス各地で年金改革のデモとストの嵐が吹き荒れる中、 3月21日〜3月22日の2日間にわたって国際旅行商談会、第16回目のランデヴー・アン・フランス(Rendez-vous en France)が 、パリのポルト・ド・ヴェルサイユ展示場で開催された。コロナ禍を挟んでパリでの開催は5年ぶり。フランスから660社が出展し、世界中から786の旅行会社等、67カ国から約1850人の旅行業界人が一堂に会した。アジアから約100社のツアーオペレーター等が参加。そのうち日本から47社、中国から5社、2022年のナント開催時に参加できなかった中東のツアーオペレーターも加わった。事前の商談予約数は26320件を数え、こちらも2019年並みの水準を記録した。
2022年、フランスは記録的な猛暑に見舞われ、観光地を含む各地で深刻な干ばつや大規模な山火事が発生し大きな社会問題になった。加えて各空港ではコロナ禍以来の人員不足による混乱が続いたにもかかわらず、英国やEU域内から旅行客が急増し、特に夏以降はドル高ユーロ安の後押しもあって米国からの旅行客も激増した。インフレの影響から業績が膨らんだとはいえ、購買力が高い旅行客の訪仏は事実。うれしい悲鳴を通り越してオーバーツーリズムの懸念が高まるほど、ポスト・コロナのフランスでインバウンド市場は急速に回復した。2022年、観光客が最もフランスに収入をもたらした国TOP3は1位ベルギー、2位ドイツ、3位英国と近隣諸国が占める。
フランス観光開発機構(Atout France) のカロリーヌ・ルブーシェ総裁は「2022年のフランスの国際観光収入は580億ユーロ(約2.5兆円)を計上し、予想を上回る成果が得られた。2023年の第1半期も同様な傾向にある。」と語る。『観光産業の復興を確固たるものにする』ことを今年の目標に掲げ、「残る課題はロングホールのアジア市場。日本・中国市場のリカバリーに力を注ぐ。」と総括した。
次回のランデヴー・アン・フランスは2024年3月26日と3月27日、トゥールーズで開催される。
メインテーマは、ラクビーW杯2023とパリ・オリンピック2024
ラグビー・ワールド杯2023は、フランス全9都市(パリ、ボルドー、リール、リヨン、マルセイユ、ニース、ナント、トゥールーズ、サンテティエンヌ)で開催。世界209カ国で放映されることから、それぞれのデスティネーションが持つ個性的な魅力を世界に発信する絶好の機会になる。それに向けて試合観戦が目的でフランスを訪れるサポーター・観光客に、ホストタウンとその周辺地域への旅行意欲を高め滞在延長を促すような、効果的で魅力的なプロモーションを行う。
「パリ・オリンピック2024では、ドラマチックなセーヌ河での開会式など最も素晴らしいフランスを演出し、強力なメディア露出を図る。」元柔道家で2024年オリンピック委員会特別顧問をつとめるティエリー・レイ氏(Thierry Rey)は力強く語った。その根幹はグリーンでサスティナブルな「コンパクト五輪」。95%は既存の施設を利用。期間限定のアリーナや仮設スタンドが活用され、建築資材は100%リユースかリサイクル。1万台分のVélib(レンタサイクル)の駐輪場が設置され、パリ市内の全ての競技場の移動は自転車で可能に。ヴェルサイユ宮殿の敷地内では、馬術、近代五種競技、サッカーはパリのパルク・デ・プランス以外に地方6都市、セーリング競技は仏領ポリネシアのタヒチで開催される。選手は男女同数のジェンダー平等。ボランティアは4500人。サポーター・観光客に対するホスピタリティ研修が行われる。
On Locationフランスのマネージング・ディレクター、ファブリス・ファヴェット・ボン氏(Fabrice Favetto-Bon)によると、一般の第1次抽選は1月に締め切られた。オリンピックのチケット・セールスは現在、BtoCのTOP3は米国、フランス、英国、日本は8位。BtoBのTOP3はフランス、英国、米国。日本は10位以下。会期中はパレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)に、飲食可能なホスピタリティ&エンターテインメント・ゾーンClubhouse24が設けられるほか、ゴールド、シルバー、ブロンズとグレードに応じたホスピタリティ・プログラムが用意される。
また、大部分の新規の建設予算はセーヌ・サン・ドニ県に投下され、パリ五輪のレガシーとして会期後、移民の多いこのエリアの中・長期的な都市再生計画にあてられる。大会開催によりこの地域には合計20ha以上の新しい自然空間が誕生するという。
訂正箇所:冒頭第1段落
誤:そのうち日本から37社
↓
正:そのうち日本から47社
お詫びして訂正いたします。