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JATA高橋会長「海外旅行の復活なくして旅行業界の復活なし」、新型コロナ5類への見直しが急務

  • 2023年1月13日

人手不足解消へ、新たなシステムを年内に稼働

 高橋氏は業界全体の喫緊の課題として人手不足を挙げ、解決に向けた3つの方向性を示した。1つ目は「事業者が安心して採用活動を行える環境づくり」。コロナ禍で多額の借り入れをしている観光事業者も多いことから、経営の安定が見通せなければ本格的な採用に踏み切れないとして、安定的な事業環境づくりのためにも全国旅行支援の継続や新型コロナウイルスの5類への見直しを求めていく考えだ。

 2つ目は「生産性の向上に向けたDXへの取り組み」で、緊急時の情報把握や宿泊施設の情報など、各社の競争力とは直接関係しない業務を共有することで業務効率や生産性を高めるシステムを構築するといい、年内の早い時期の稼働を目指している。

 3つ目は「将来人材の獲得に向けた取り組み」。コロナ禍で観光産業を目指す学生は大きく減少しているが、「依然として観光産業が日本の成長産業の中心にあることを世に示すことで、希望を持って就職できる環境を作り上げていきたい」という。

JATAが目指すツーリズム像

 コロナ禍でツーリズムに求められる価値観やニーズは大きく変化した。高橋氏は「旅行者自身の手配では実現できない付加価値の高い旅の提供は旅行会社の本分だ」と述べ、農泊、国立公園、日本遺産、ワーケーションなど、日本ならではの旅行商品やサービスの開発に取り組む方針を示した。なかでも訪日旅行ではアドベンチャーツーリズムに注力し、地方への誘客拡大を目指していく。また、特に欧米の旅行会社から求められるSDGsへの対応については、優良な取り組みに対し表彰制度を設けるなど、会員各社の意識向上を図る考えだ。

 高橋氏は「これまでの旅行業の範疇に止まらない新たなマーケットを開拓し、新たな価値を創造し続けていくことが、ツーリズムの新たなステージに繋がっていくと考えている。本年は業界全体で新しいステージに相応しい姿に生まれ変わるのだという『リボーン』の年にしていきたい。そして観光立国の推進役としての役割をしっかり果たしていきたい」と決意を示した。