HIS澤田会長「観光産業は人類にとって素晴らしい産業」海外旅行の完全復活はあと2、3年-新春インタビュー
これからの旅行会社は、差別化ができないと生き残るのは困難
旅行業全体が夢の持てる業界であれば、若い経営者が出てくる
-旅行業界にご自身のようなカリスマ経営者が出てこないのはなぜだと思われますか。若い起業家にとって旅行業は魅力のない業界なのでしょうか。例えば、澤田経営道場で旅行業の起業を考えている人はいるのでしょうか。
澤田 旅行業は昔からある産業。ITなどの最先端の事業とは異なるので、新しい経営者がなかなか旅行業に入ってこないのではないか。私自身はカリスマでもなんでもない。ただ変わり者で、航空会社やテーマパークなどをやってきただけだ。若い起業家が旅行業に参入してこないのは、経済的な理由もあるかもしれないが、旅行業全体が夢の持てる業界であれば、若い経営者は入ってくると思う。
澤田経営道場は継続している。経営者になるための道場として、現在まで6期生を送り出したが、旅行業で経営者になった人はまだいない。旅行業のためだけにやっているわけではないが、少し寂しい感じはする。毎年7、8人が卒業して、成功している人も出ているので、道場としてはうまくいっていると思う。
-HISの将来像をどのように描いておられますか。
澤田 これからも新しいことに挑戦していく考えだが、それぞれの分野でいろいろなライバルが出てくるだろう。
-観光産業全体に向けてのメッセージをお願いします。
澤田 観光産業は、お客様に世界を見てもらい、感じてもらい、楽しんでもらうお手伝いをする産業で、人類にとって素晴らしい産業だと思う。世界を旅行することで、知識、見識、視野を広げることができ、帰国してからそれを仕事に活かすことができる。世の中で活躍されている人は、海外での経験も多い。若い時には、世界を見て、感じて、その経験を将来の自分の人生に生かしていけば、それは大きなプラスになると思う。
長い人生ではいろいろなことが起きる。HISも、9.11同時多発テロ、SARSなどを乗り越えてきたことで、大きな成長につながった。今回のコロナ禍でも大きな打撃を受けたが、それだけさらに成長する可能性があると思っている。
-ありがとうございました。