【新春インタビュー】旅行の本格再開に向けて-JATA志村理事長、池畑事務局長

  • 2023年1月4日

 2022年は長く続いた水際対策が段階的に緩和され、日本旅行業協会(JATA)では海外視察団の派遣やツーリズムEXPOジャパンの開催など、旅行再開に向けた取り組みを続けてきた。本格的な観光の復活に向け2023年はどのような活動を行っていくのか、昨年の振り返りとともに理事長の志村格氏と事務局長の池畑孝治氏に聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

JATA理事長の志村格氏(左)と事務局長の池畑孝治氏(右)

-はじめに2022年の総括をお願いいたします。

池畑孝治氏(以下敬称略) 2022年の始めにはまだ入国時に隔離もあり、JATAでは隔離日数の緩和や入国者数の上限の撤廃の要望を続けてきました。また外務省の感染症危険レベルが3から2に変わる際にも様々な取り組みを行うなど、会員の皆さんが事業を続けられるよう多様な活動をしてきました。

 4月以降は水際対策が段階的に緩和されたことを受け、ハワイ、韓国に視察団を派遣。もし現地でコロナに罹患した場合にどのような対策が講じられているかなども含め、旅行者の安全を確保すべく政府機関の方と意見交換を行いました。その流れのなかで、ちょうどゴールデンウィークの時期にハワイの募集型企画旅行が再開されました。

-実行された取り組みのなかで手応えを感じているものはありますか。

池畑 個々の施策で大きな効果があったと判断することは難しいですが、「旅行の火を消さない」という機運醸成への取り組みは必須でした。目立つものでは「海外旅行再開宣言」がありますが、それ以前にもJOTC(アウトバウンド促進協議会)のウェビナーなどを定期的に行ってきました。また、ウェブサイトでは感染症レベルの一覧を毎週更新してきましたし、海外旅行推進のメンバーや会員の皆さんと話し合いながら海外旅行再開のロードマップも作成してきました。JATAではこうした地道な活動を通して機運醸成を進めてきており、そのなかの大きなイベントとして「海外旅行再開宣言」があったわけです。

志村格氏(以下敬称略) 旅行再開に向けての課題は、制度面のハードルと機運醸成の2つがありました。制度面は旅行業界だけで動かせるものではなく、経団連や他の経済団体、外国の大使館、商工会議所などと連携する必要があります。しかし、機運醸成は我々が自分達のプロジェクトとしてできることです。「海外旅行再開宣言」はメディアで大きく取り上げられましたし、ツーリズムEXPOジャパンの期間中には10月からの水際対策の緩和が発表されました。その意味で、ツーリズムEXPOジャパンは機運醸成にも影響があったと自負しています。

池畑 ツーリズムEXPOジャパンには47都道府県、78ヶ国・地域からの出展がありました。出展された方も、特に海外の方は、本当に効果があるのかと直前まで悩まれていたと思いますが、12万4000人を超す方にご来場いただくことができ、我々としても大変勇気づけられました。

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