「出張もサステナブルへ」「回復は25年から26年」「対面会議は急増」-GBT NTAが最新トレンド発表

ミーティング・イベント増加傾向が継続

アメックスGBTパトリック・ラッシュ氏

 アメックスGBTアジアパシフィック、ミーティング&イベントのリージョナルディレクター パトリック・ラッシュ氏は、2023年のミーティングやイベント動向について説明。23カ国500以上の回答に基づく最新調査によると、ミーティングとイベントの2022年後半からの増加傾向は2023年も続く見込みと述べた。規制緩和で対面ミーティングは急激に増え、帯同も戻り、予算も増加。対面ミーティングが活発化し、新しい形の社内ミーティングが主流になり、サステナビリティ、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)への取り組みがより重視されると見る。さらに会場など売り手市場になるため、目的に合わせてより戦略的に取り組むべきとした。

 同じくグローバルビジネスディベロップメント&ストラテジーのリージョナルリーダー、カオリ・ペレイラ・ラゴ氏は対面ミーティングの重要さに触れ、国境が開いて最初に戻ったのは対面の社内ミーティングだったという。「ちょっとした会話やブレインストーミングなど従業員のコネクション構築やチームの絆を強めるには対面が大事と認識されている」と話し、対面ミーティングの希望者が99%もいたという。ラゴ氏はそこで求められるのは質だと指摘し、CSRや社会的なアクティビティを取り入れたいという声が多くあったと話した。

ブロックチェーン活用でSAFへのシフトを狙う

質疑応答で回答するシェル・アビエーションのドリス・タン氏(左)、同ハン・ウィー・チュア氏(右)

 続いて、アメックスGBTと石油元売会社のシェル、コンサルティング企業のアクセンチュアが今年6月に立ち上げたアヴェリアについての説明があった。シェル・アビエーション、アジアパシフィックミドルイーストのヘッドオブアビエーション、ドリス・タン氏は「アヴェリアはブロックチェーンを活用した化石燃料からSAFへシフトするためのサステナブルなソリューション」と説明。シェルがSAFの供給側である生産者を、アメックスGBTは購入側をとりまとめる形で運用される。

 アヴェリアはブックアンドクレーム方式による取引となるため、企業はSAFをクレジット購入して排出削減の認証を得る。シェルはSAFを出発する空港に物理的に運ぶのでなく、グローバルの燃料ネットワークに供給する。GBT NTA営業・開発本部の部長荒井誠氏によると、参画する企業側のメリットは、出張をサステナブルにできるだけでなく、燃料予約時に航空会社を選択するので、提携したい航空会社と関係性を高めることができるという。削減記録の追跡も可能だ。

シェルジャパンの渡辺昇一氏

 シェルジャパンのシェルグループ化学品事業日本統括の渡辺昇一氏からはSAFについて説明があった。原料は廃食油や大気中の二酸化炭素などで、ジェット燃料に最大50%まで混合されて使われる。50%の混合比率で最大40%、100%なら80%の排出削減効果が見込めるという。現状、シンガポール/東京の片道移動だけで1人あたり1.2トンのCO2排出量があり、「出張を阻害せずに排出量を削減するにはSAFが最も実現的なソリューション」と説く。それでもSAFが普及していないのは、「全航空燃料の0.1%未満と規模が小さく、通常の燃料より2~8倍高い。コスト分担のシステムも確立されていないため」と話した。

 アヴェリアの燃料供給ネットワークにブロックチェーンを利用するのは「透明度と信頼性の高さ」(渡辺氏)。今年7月からの試験運用で企業からの関心も高まっており、海外から人が来る会議やプライベートジェットにSAFを使ったり、CO2排出量をSAFに換算したり、継続購入を検討している会社もあり、今後も参画する会社を増やしたい考えだ。

 また、会場となったヒルトン東京では、イベント開催時おけるCO2排出量計測に対応。ヒルトン・ワールドワイド・セールスの中畑護氏によれば、参加人数、食事数、ベニューの広さなどの項目に基づいてCO2排出量はじめ、エネルギーや水の使用量、食事の廃棄量などを算出し、会議影響計算レポートとして報告ができるという。排出されたCO2はカーボンクレジット会社への支払いによって相殺され、今回のセッションもカーボンニュートラルなイベントとなった。