新潟・高柳じょんのび村、HIS出身の社長が立て直しに挑戦、赤字経営から半年で脱却
2015年以来の黒字化を達成
人とのつながりから得た大きなサポート
吉村 送り出す立場から、受け入れる側になって直接お客様の声を聞けるのは大きな違いです。マネジメントの内容も大きく変わり、温泉やボイラーの管理、レストランや清掃、除雪といった現場の作業まで、これまでの経験にはないことも勉強させていただきました。
旅行会社の経験が生きたことはセールやプロモーションで人を集客するスキルですが、何よりも大きいのは人とのつながりです。私自身、「縁尋機妙」という言葉を大切にしています。良い縁は次々とよい縁を結んでくれます。前職で繋がってくれた航空会社、広告代理店、ITなど幅広いつながりが役に立っています。航空会社出身の役員、旅行会社時代の元スタッフ2人が一緒に仕事をしてくれ、別のホテルで社長をしている元上司にもいろいろ教えてもらいました。私ひとりでは半年で黒字化はできないし、こういったつながりから多くをサポートしてもらいました。HISの澤田会長が言っていた「自然の摂理、礼節謙譲」という言葉を今も重んじていて、その精神は今でも生かされてると思います。
吉村 施設側にとっては煩雑ながらも良い政策だと思います。個人的には、ワクチン接種回数も県民は2回、県外だと3回以上という差があり、ワクチン推奨のための旅行支援であってはいけないし、接種を受けられない方にも平等にクーポンを差し上げるべきだと思います。実際にクーポンを使ってる方はワクチンを受けた高齢の方が多く、若い人の喚起にはなっていないと思います。
吉村 高柳じょんのび村には従業員の住み込み施設がありません。冬は移動できないくらい雪が降るので、働く人は地元の高齢の方です。いい人材はいるのですが、親の介護や自身の健康問題で辞めていきます。若いスタッフに来てもらったのですが、募集をしても来る人は少ないです。コストカットばかりをして単年で黒字になっても人材がいないと持続しないため、人を増やす方向で進めています。
3月には市内の新潟産業大学と連携協定を結び、インターンシップはじめ、留学生に今後見込まれるインバウンドへの対応など連携を進めています。学生アルバイトが来られるようバスで学校と周辺を結ぶこともできると思います。
吉村 事業が悪くなるのも良くするのも人次第です。私がいる間にいち早く黒字化するのは最低限の目標です。私がいなくなってもこの施設が10年20年続けられるようにバトンタッチできる人材を残す、育ってもらうことです。地元の方には、冬の時期はもがくとさらに苦しむと言われたのですが、もがきたいし、諦めてはいけないと思っています。これまでやってきたことに磨きをかけて、コンテンツを開発し、プロモーションをする。前職の経験を活かし、台湾などを中心に海外からのインバウンドにも力をいれ、合わせて柏崎市と周辺観光地域と連携して誘客促進したいと思っています。