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ドイツ、富裕層マーケットへ訴求、23年は19年比50%の回復を予測

  • 2022年11月10日
西山氏

 ドイツ観光局は、現地から3年ぶりに観光ミッションが来日し、11月8日と9日に都内でワークショップを開催した。今回の来日ミッションは「Meet Germany – off the beaten track 2022」と題しサステナビリティとデジタル化の新しいコンセプトでおこなわれるプロジェクトで、コロナ禍後のトレンドを見通し、サステナブルで付加価値のある高品質な旅の素材を提案するもの。

 8日の夜に関係者を招いたイベントでドイツ観光局アジア地区統括局長兼日本支局長の西山晃氏は「3年ぶりにドイツより観光ミッションの来日が実現いたしました。国を超える往来がほぼ通常通りに再開したことで今後、日本からのアウトバウンドは確実に回復を続けていくと思います。焦らずに一歩ずつ進んでいきたい」と挨拶。

 今回のミッションはサステナブルツーリズムがメインテーマで、コロナ禍以前のような観光客の大量送客は見直しを迫られているなか、西山氏は「民間セクターでは、このような変化のなかで、どのように収益を確保していけるかが課題」だとして、「一人当たりの現地での消費額の増加や旅行期間を延ばす」ことがわかりやすい解決策のひとつと述べた。

 現在、ドイツは入国制限がなく、マスクは公共交通機関など一部を除き屋内でも着用の義務はなくなっている。全外国人の宿泊数は7月までで2019年比の68%まで回復している。日本市場については6~7月には2019年比で30%ほどまで回復。西山氏は「日本人の8月の出国者数は2019年比で20%ほどであるを考えると、ドイツの回復は日本の出国数の回復率を大幅に上回るペースになっている」と強調。

 今後の日本人の海外旅行については「円安」「燃油料高騰」「賃金停滞」「ウクライナ問題」「欧州インフラ」が影響すると「ヨーロッパ旅行へのハードルが高くなってしまう。ドイツだけでなく隣国も含めて大きな課題」(西山氏)。そのため影響をあまり受けない富裕層へ一旦、ターゲットを集中する方針だという。

 また2022年の宿泊数を2019年比で25%と予測。2023年は今後の経済的、地政学的な影響でどうなるか分からないとしつつも、2019年比で50%と予測した。

 最後に来年の活動のテーマが発表され、今年のテーマであったサステナブルな観光施設やサービスを紹介する「Feel Good(フィールグッド)」と、自然を楽しむ「Embrace German Nature(エンブレイス・ジャーマン・ネイチャー)」は継続。さらに世界遺産をコアテーマとした文化ツーリズムをイヤーテーマとして取り上げることが決定した。