着地型旅行商品のエキスパートとして「観光客までつくる」-フィールドデザイン林光太朗氏
林 理由の1つに、絶景、ガイド、乗り物といった素材を単に並べただけで、そもそも商品になっていないことが少なからずあります。旅行商品とは本来、観光事業者が企画を検証し、値付けをして販売期間を設定、最少催行人数を見定めて商品化し、そして販売するものです。素材を並べただけでは本来商品にはなりません。
また、旅行会社との連携も図れていない点もあります。経費を抑えるために自分たちでやろうとすることはいいのですが、自社のホームページやSNSがどういう人たちにどれほどリーチできているのか、それで流通に乗るのか、再考する必要があります。一方で旅行会社の店頭やウェブサイトに来る人は旅行するつもりの人たちばかりですし、旅行会社は会員組織や通販を含めた多様な販路も告知手段も持ち合わせています。移動や宿など他の要素を組み合わせて、客の自主手配より安いレートで素材を仕入れる力もあります。こうしたメリットも考えたうえで旅行会社の利用方法を考えてみるべきです。
もちろん旅行会社とマッチしない着地型旅行商品もあります。しかし基本的に量を売る商品については旅行会社の販売網は有効です。当社もウェブが得意ですが、商品開発の段階では、旅行会社で取り扱いいただくことを意識しています。
林 9月から東京で1名採用し、在宅で仕事を始めてもらっています。いずれは関東に事務所を開設したいと考え、山梨在住者の採用をしており、将来的にはこうしたメンバーがそれぞれの地元で地域の活性化に取り組める形を作れればと思います。
林 立山・黒部は台湾からの観光客、白馬はオーストラリアからの観光客に人気があります。長野は東京からもアクセスが良いですし、富山や金沢とも組み合わせやすいロケーションで、国内旅行者より広域観光になじむ訪日外国人旅行者市場には可能性を感じます。円安は良くない点も多いのですが、インバウンド誘客においては追い風と考えています。
商品作りもこれまでは国内旅行者を想定していましたが、これからは外国人を意識することも必要だと思っています。発想から色彩感覚まで日本人とは違う面が多いので、こうした対応も含めたインバウンド強化が次のステップだと考えています。
林 昨年、長野県内での事業展開を前提として3種を取得したのですが、これと前後して富山県でのプロジェクトが持ち上がったので、今年9月に2種を取ることになりました。
そもそも旅行業を取得したのは本気で売れるモノ作りに取り組み、魅力ある着地型商品を生み出していこうと考えたからです。例えば、いま考えているのはタクシーを使い二次交通のネットワークを作ることです。もう1つの理由は行政や自治体の商品作りを手伝っても旅行会社と組めなければ話が進まない面があるためです。せっかく育てた商品の「嫁入り先」が見つからない場合は、フィールドデザインが旅行会社としてお手伝いをしようというわけです。
林 旅行業界はコロナ禍で変革期を迎えており、そのなかで国の支援によって地域の魅力創出に取り組む旅行会社や自治体が、地域の魅力を探し商品化を進めています。しかし、せっかく良い商品ができても、プロモーションを始めとする各種の悩み事を抱えるケースがあるので、その際はお手伝いをさせていただければと思います。逆に良い商品作りに課題を抱えているのならば、そのお手伝いもできます。当社の強みは全てを一元的に引き受けられる点だと説明しましたが、逆にプロモーションだけ、商品作りだけなどにも対応できます。日本の各地域の魅力創出に係る企業・団体と共に地域の活性化に取り組んで行きたいと考えています。
また当社の画像を自由に無料で使用できる「フィールドデザインギャラリー」を開設していますので、観光誘客などに活用していただければ幸いです。