ホテル業界の人材不足加速か。新規開業計画も次々と-リクラボ 久保亮吾氏
ホテル業界専門の人材会社リクラボの久保亮吾です。宿泊産業の人材市場をとりまくトピックについて書いています。最近は人事部門のみなさんとお打ち合わせをしていると、そこに組織のトップの方が顔を出されるケースが増えてきました。各社の経営課題の最上位に「人材」のことが上がっていることをヒシヒシと感じます。そもそも人手は足りないのですが、ホテル業界の場合はそこに新規開業ラッシュが追い打ちをかけている状況です。
オンライン中途説明会をSNSで拡散
「オープンハウス」とか「ジョブフェア」、「キャリアフェア」という採用イベントを外資系ホテルでは昔からよく行っています。ようは中途採用のイベントで、「興味のある方はぜひ一度ホテルに来てみてください!どうぞお気軽に!」という趣旨のものです。外国人総支配人の中にはこのイベントが大好きな人が多いです。おそらく海外ではそれなりに効果のある採用手段なのでしょう。しかし日本ではどうか・・・。
効果が無いとは言いませんが、正直言ってコスパに見合うような現象が起きているホテルはあまりないと感じています。特に経験ある即戦力の獲得、キーポジションの獲得には機能しにくく、宴会場を終日おさえてカッコよく装飾し、人員を動員し、スイーツやコーヒーを出すわりには、「あんまり欲しい人は来なかったね・・・」という結果が多いと思います。
なぜか?
当たり前の話なのですが、転職活動中の人というのは現職の在籍会社に自分が活動中であることは知られたくないものです。となると狭い日本のホテル業界では同業他社のオープンハウスに堂々と顔をさらして足を運ぶのはかなりリスキーです。先方の会社に元の同僚がいるかもしれませんし、オープンハウスの現場で上司と部下がバッタリ会ってメチャクチャ気まずかった!という実話を聞いたこともあります。
ということで、業界で経験のある人ほど(つまり本当に欲しい人ほど)、そういうイベントには来ません。他業種で働いている現場最前線の人を獲得するならアリですが、せっかくならもっと効果を出したいですよね。
そこで最近、弊社がオススメしつつサポートさせていただいているのが、「オンライン中途採用説明会」です。感染対策で馴染みはじめたオンライン説明会ですが、実はコロナ関係なく、中途採用説明会ではオンラインのほうが効果が高そうです。
ポイントは
・参加者は画面に顔を出さなくても参加OK
・チャットでどんどん質問に答えてインタラクティブに
・朝、昼、夜(遅めの時間)など複数回開催する
・必要あらば録画し、アーカイブ視聴も可能にする
匿名参加が最大のポイントです。申し込み時には本名を記入するように設定して人事側では個人情報を把握しても良いのですが、イベント時には参加者同士が「誰が参加しているのかわからない」という環境にすることが大事です。
Zoom、Teams、Google Meet、ツールはいろいろですが、コロナ禍のおかげでこうしたツールを使うことにもお互いまったく抵抗はありませんよね。参加者は大変気軽に参加でき、ホテル側は会場をおさえる必要もスイーツもコーヒーもいりません。浮いた会場費やスイーツとコーヒー代を使ってカッコイイ採用のプロモーション動画を作れば説明会の質が上がるでしょう。
そうしたオンライン説明会の告知を私たちはSNS広告を使って拡散しています。使用ツールは、Instagram、Facebook、TikTok、そしてLinkedinです。SNS広告は予算に応じて課金できますので、負担少なく始めることができます。
もちろん、超話題のホテルの情報を流すのと、ネームバリューの高くない施設の情報を流すのでは拡散のスピードも広さも変わりますが、業界や興味の方向、年齢や地域などを絞って広告できますので、中途採用とSNS広告は親和性が高いと見ています。
次ページ >>> 目下、採用中の話題の2ホテルは来春開業