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「東京観光関連の補助事業の相談受け付けます」開設3ヶ月の東京観光産業ワンストップ支援センターに聞く

コロナ禍からの東京観光復活を目指して
必要に応じアドバイザーとしての専門家も派遣

-例えば国のDX化推進補助金などと都の補助事業が重複しても構わないのでしょうか。

田中 同じ取り組みに対して2つの補助金は使えませんが、例えばDX化推進を目的とする点は同じだったとしても、具体的な取り組み内容が違えば構いません。違う取り組みだと見なされれば、補助事業の対象になる可能性はあります。

-開設から3ヶ月ほどですが、どれくらいの相談件数があり、どのような相談が寄せられていますか。

田中 まだ周知段階ということもあって、連日多くの相談が寄せられているという状況ではありません。ただし旅行業者や宿泊事業者だけでなく、旅行者にサービスを提供する小売りや飲食、アクティビティ業者を含む多くの観光関連事業者から満遍なく相談が来ており、改めて観光が裾野の広い産業であることを実感しています。同時にこれだけ幅広い事業領域からの相談に対応していくことの難しさも実感しています。

 内容については、「この補助金が使えますか?」といった相談よりも、「これからインバウンドは復活しそうだけれど、何から取り掛かればいいのか」といった、漠然とした課題感や不安感を持った相談が多く見受けられます。そうした相談については、課題等を深くヒアリングしたうえで、必要に応じてアドバイザー派遣をご案内することが多いです。

 このアドバイザー派遣制度は無料で5回まで利用することが可能です。観光の各分野に精通した専門家を、各事業者の悩みに合わせアドバイザーとして派遣しています。その結果、補助金事業を活用するのか別の取り組みをしていくのか、出口は様々ですが、アドバイザーの活用が有効な第一歩目になるのではないでしょうか。

 ワンストップ支援センターの特徴の1つは、基本的にウェブサイトのフォームに相談内容を入力するところからスタートする点で、これはスムーズに受け入れていただいています。電話での相談も受け付けていますが、オンラインの相談がスムーズに受け入れられているのは、観光産業でもデジタル化への意識が高まってきていることの表れなのかとも感じています。

-アドバイザーとして登録している専門家はどのような方々ですか。

田中 中小企業診断士が多いですが、ホテルや旅行会社の出身者や、観光産業関連の案件を数多く手がけている診断士を選び登録しています。また東京観光財団で「観光まちづくりアドバイザー」という観光関連団体等を対象にしたアドバイザー派遣制度があるのですが、この制度において観光商品作りに実績のある方もピックアップして登録しています。

 センターのウェブサイトには登録メンバーの一覧を掲載しており、派遣してほしい専門家を指名してマッチングすることもできます。現在は約70名をアドバイザーとして登録しており、今後の補充も考えています。なお、専門家にはこちらからお願いして登録しており、自薦の形は取っていません。

 現状では、ウェブサイトにはアドバイザーの名前と専門分野のみを掲載しており、やや分かりにくいのが正直なところです。まずはセンターの開設を優先し、ウェブサイトは必要最低限の機能を装備して開設したため、現在、急ぎ改修を進めています。助言を受けたい内容や業種等から検索できる機能を追加し、各専門家の顔写真や事業者へのメッセージなども紹介欄に加える予定で、この記事が掲載される頃には改修が完了しているはずです。

 ウェブサイトについては、プラットフォームとして強化していく必要性も感じています。例えば補助金を使った優良事例などを記事化して掲載するなど、実際に補助金で何ができたのかを情報共有することで、補助事業や補助金への理解が深まるのではないでしょうか。

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