オクシタニーとトゥールーズ、ラグビーW杯で日本人来訪者を歓迎、副議長ら来日
このほどフランス大使公邸にて「ラグビーワールドカップ2023 1 Year to Goレセプション」が開催され、オクシタニー地域圏副議長のカメル・シブリ氏、トゥールーズ都市圏副議長/トゥールーズ都市圏集客局会長のジャン=クロード・ダルドレ氏が来日した。
ダルドレ氏はレセプションに先駆けておこなわれた本誌単独インタビューに応え、現地では日本代表チームと日本人客の受け入れ準備が進められていることをアピール。さらにコロナ禍を経たトゥールーズ市の観光市場について、主力のビジネス市場とともに、収益性の高いレジャー市場にも注力を図るとし、W杯を契機とした日本市場に対する一層の知名度向上と交流人口増加への期待を語った。
変化するビジネス市場、ラグビーW杯で知名度を上げてレジャー市場も強化
ダルドレ氏はまず、1998年のサッカーW杯フランス大会でトゥールーズが日本戦の開催地になった際、「日本人客の質の高さに感銘を受けた」と語ったうえで、2023年のラグビーW杯で同市に日本代表のキャンプを誘致したこと、日本戦2試合が開催されることにふれ、「日本代表と、日本チームのサポーターや観光客に対し、特別な受け入れ準備を進めている」と述べた。具体的には、一般的な観光ガイドブックのほか、日本語によるラグビーサポーター向けのデジタルガイドブックの作成を進めており、ホテルやレストラン、観光施設などに対し、日本人客の受け入れに関するレクチャーを実施していると述べた。
このほかトゥールーズの主要産業のひとつである航空宇宙産業とタイアップし、宇宙飛行士とラグビー、アエロポスタルとラグビーといったテーマのイベントや、アマチュアチームを招いての交流試合の計画も検討しているという。さらに現在トゥールーズでは日本企業の誘致などビジネス面での関係強化が進んでおり、また日本文化をテーマとしたイベント「JAPAN TOUCH TOULOUSE」を通し、日本に興味を持つ市民も増えているなど同市の親日性も強調。「ぜひトゥールーズを訪れていただき、ラグビーを通してこの地の食やワインなど、文化面にもふれていただきたい」と語った。
またダルドレ氏によると、現在トゥールーズの航空宇宙産業従事者は約12万人(観光産業従事者は約2万5000人)。同市を訪れる海外渡航者は、コロナ禍前まではレジャーとビジネスの割合が3:7であったが、パンデミックを経て会議がオンラインでおこなわれるようになり「ビジネス客の戻りが鈍い」という。レジャー市場についてはスペインやポルトガル、英国など周辺諸国をはじめ、今年に入ってアメリカなどロングホール市場も戻り始めているが、「短期のビジネス渡航が動かない一方、チームビルディングなど滞在の長期化も見られる。この市場はMICEを含め、まだ見極めが必要だ」として、当面はレジャー市場に注力する。W杯を機に日本市場に対する認知度向上を図り、長期的なレジャー市場獲得やビジネス誘致展開にもつなげていく考えで、ダルドレ氏は「旅行会社の支援、送客を期待している」と述べている。
W杯期間中、日本人サポーターを含め4万人以上を見込む
またオクシタニー地域圏副議長のシブリ氏によると、2022年9月の時点で、トゥールーズで行われる日本戦のチケットは約3万5000枚を販売しており、フランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏は「4万枚は固いのではないか」と話す。また日本代表の2試合が行われるトゥールーズ以外でも、ペルピニャンやモンペリエをベースキャンプとするチームもあり、シブリ氏は「W杯による経済効果は約6000万ユーロを見込んでいる」と明かした。
なお今回のイベントでは日本対イングランド戦が行われるニースのある、プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地方観光局会長のフランソワ・ド・カンソン氏、ニース観光局会長のリュディ・サル氏、マルセイユ観光局局長のマクシム・ティソ氏らがビデオメッセージで挨拶し、こちらも来訪を強く訴えた。