業界ニュースを振り返る ー 初任給400万の世界に業界は立ち向かえるのか
今週の人気記事第一位はANAインターコンチネンタル石垣リゾートの秋間総支配人へのインタビューでした。若くして総支配人をされている秋間氏ですが、記事の中で個人的に興味深いのは人材に関することです。
石垣島の生活費が高いというのも驚きでしたが、初任給を上げるとエントリー数が6倍に増えたというのも非常に興味深いです。これを「給与さえ上げれば人が来る」と安心するのか「給与を上げないと人は来ない」と絶望するのかは会社によりけりでしょうが、もういい加減日本で安く雇って働かせるから収益が出る、という構造は無理があるのでしょう。今や外資系企業が日本で初任給400万を越える待遇を出す中、200万しか出せない企業にどんな優秀な人材がくるというのか。
いきなり外資並の水準は無理でも、 日本最大手の旅行会社が初年度月給21万などと言っているようでは他業界にも海外の旅行会社にも人材面で太刀打ちできないのはどうしようもないでしょう。企業は人、観光産業は人と良く聞きますし、待遇面の全体的な改善は業界の急務でしょうね。ちなみに余談ですが駐在員が働きたい国ランキングでは日本は32/33位らしいですよ。秋間氏の予想よりも更に悪いのがどうやら日本の現状です。
もう一つ取り上げたいのがKKday日本支社長大淵氏のインタビュー。まず前向きな点で言えば、少なくともインバウンドに関しては短期的に明るそうなことが本記事からわかります。観光地や宿泊施設には大きな追い風となるでしょう。一方、旅行業界には厳しい一言もあります。「旅行を選ぶ視点は大きく変化するでしょう。現在の旅行業界は、デジタル対応も含め、そういった変化への対応は上手くありません。」とおっしゃられていますが、私も同感です。中にいるときも、外に出た今も業界として変化への対応が非常に遅く後手後手だというのを感じます。逆に言えば変化への対応が早いというだけで一種の強みになる業界ですし、そういう業界だからこそ常に一定数ベンチャー企業が参入してくるのでしょう。業界全体が変化に強くなれる日が来るのか、業界外からながら期待しています。