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満足度より幸福度へ、従業員を幸せにするホテルを目指して-カフー リゾート フチャク コンド・ホテル総支配人 荒井達也氏

  • 2022年9月9日

総支配人の仕事は「辞めない仕組み」を作ること
行政へ出口戦略を提案できる観光組織を

-地域や観光への貢献についてのお考えをお聞かせください。

荒井 出戻って間もないので大きなことは言えないのですが、2つあります。1つ目は「多様な人を受け入れられる旅先である」ということ。これまで沖縄にアクセスしづらかった人たちを積極的に受け入れていくと同時に、受け入れられる体制を作っていく必要があります。ですが、LGBTQの方を「支援する」というスタンスではありません。旅行は大切な人と来るものです。誰もが当たり前に受け入れる、楽しめる沖縄を目指すことが重要で、そこで力になれたらと思っています。

 これはLGBTQだけでなく、障害者の方も同様です。ハードを変えなくてもハートを変えるだけでいい。スロープというハードがなくても、ハートが変わり、スタッフが手を貸すことで上がれる段差もあります。沖縄はデスティネーションとして、ダイバーシティをしっかりとマネジメントする必要があると思っています。

 2つ目はSDGs、サステナブルツーリズムです。現状では、プラスチックの削減など「ホテル側が何をしたか」という企業アピールの面が大きいと思いますが、それよりも旅行者側が責任ある観光をする「レスポンシブルツーリズム」が重要ではないかと考えています。恩納村には意識の高い方たちが来ているので、こうした考えに共感して、歯ブラシなどを持参される方も多いのですが、ホテルとして、また恩納村としてこうしたスタンスを持ち、アメニティを完全になくすのではなく、基本的に持参してもらい、お客様と一緒に育っていくような環境活動をしていかなければいけないと思っています。当ホテルをご利用いただくお客様のスタイルをモデルケースとして、それを見た人が自分もそうしようと思ってくださるといいですね。

-最後に読者へメッセージをお願いいたします。

荒井 感染状況も産業のなかでの観光の立ち位置も地域によって様々ですが、現在の政策はすべて同じ「観光」の括りで進められています。緊急事態宣言など感染拡大に対する施策はトップダウンで行われ、それに対する緩和策はありません。それが観光の回復の遅れに響いています。そして個々の判断になるから価格競争が起こってしまう。

 観光産業には、その緩和策を考えて統率をとり、各エリアの首長たちに提言する組織やDMO、DMCがあるべきだと思います。岡田さんたちが立ち上げたTIFSもそうだと思いますが、行政に対して提言やデザインをしていく組織が必要です。日本の観光産業はすべてを行政に任せ、言い訳をすべて行政にしているように感じます。これがハワイなど、観光が先進で動き出しているエリアとの差です。彼らはコロナ禍を経て新しくデザインされたあるべき姿に向かっています。コロナ禍が収束しても同じことは必ずまた起きるので、そのための出口戦略を作っておくことが必要ではないでしょうか。

-ありがとうございました。