ケアンズ、ジェットスターが日本路線運航再開、出張など多面的に利用促進へ

  • 2022年7月26日

 ケアンズ観光局は7月21日、東京のクイーンズランド州政府駐日事務所で記者懇談会を開催し、コロナ後のリカバリーに向け日本市場の現状や取り組み状況について説明した。日本/ケアンズ間では7月20日にジェットスター航空(JQ)による成田線の再開初便が現地を出発。7月26日には関空線の運航も再開することが決まっている。

(左から)ケアンズ空港CEOのリチャード・パーカー氏、クイーンズランド州政府駐日事務所代表の安達健氏、公式観光大使に就任した「リーマントラベラー」の東松寛文氏、ケアンズ観光局セールスマネージャーアジアの坂本サム氏

 ケアンズ空港CEOのリチャード・パーカー氏は、「1990年代から累計300万人以上の日本人がケアンズを訪問している。日本とケアンズは観光だけでなく留学、貿易などで深い関係がある」とし、クイーンズランド州内でも日本人渡航者の獲得シェアが最多で、州を訪れる日本人旅行者の半分以上がケアンズ空港に入ることを紹介した。

 今後の成長に向けても、観光に加えて教育関連や業務渡航の需要獲得も重視。教育関連はすでに日本人渡航者の10%を占めており、入国制限の緩和を受けてすでに動きはじめているが、ビジネス需要についてもコロナ禍のなかで日本がクイーンズランド州からの最大の輸出先に返り咲き。ケアンズからもメロンやマンゴーなどを含めて農作物や海産物の輸出が進み、3番目の輸出先となっているという。

 観光分野での活動方針については、セールス&マーケティングマネージャー・アジアの坂本サム氏が説明。現在は「私を満たす 私が変わる」をキーワードとし、「色々な体験を通して自分を見つめ直したり一歩前進したと感じられたりするデスティネーション」として打ち出しており、コロナ禍では旅行メディアやソーシャルメディアなどで地道な情報発信を続けてきたが、この7月からの新年度では予算の増額も決定しており積極的に誘客に取り組んでいく。すでに4月にはインフルエンサーの「リーマントラベラー」こと東松寛文氏を公式観光大使に任命している。

 ただし、当面はウィズコロナの環境に合わせた取り組みが必要で、例えばコロナ前には主要セグメントだったファミリー層は、コロナの不安もあってかJQ便の予約もほとんど入っていない状況。このため、ターゲットをこれまで以上に明確化したうえで施策を精査して展開していく。なお、ファミリー層については「早くて年末年始遅ければ春先かゴールデンウィーク、あるいは夏になる可能性もある」とした。

 このほか、JQ便は現時点で成田線が10月29日まで週5便、関空線も10月11日までは週4便、10月12日から10月29日までは週5便での運航が決まっているところだが、その先のデイリー化は未定。これについては、双方向の需要確保のためにも日本入国時のPCR検査とビザの不要化が不可欠であるとの考えで、「早急な緩和をお願いしたい」と要望した。

 なお、教育やビジネス関連の需要喚起については州政府としても取り組んでいるところ。例えば、駐日事務所代表の安達健氏によると州として2030年までに再生エネルギーの利用比率を50%に引き上げる目標を掲げており、水素活用などについても大手を含め多数のプロジェクトが動いているほか、DXやイノベーションの分野でも関係が深まっている。日本企業からの投資も、米英などに続く4番目となるなど関係が深まっているという。また、農作物でもオージービーフの約半分はクイーンズランド州産となっているという。

 さらに教育についても、コロナ禍で緊急避難的に利用が進んだオンラインでの授業などについて、オンラインならではの特徴や利点を生かしたプロジェクトに展開していく計画だ。

 このほか、駐日事務所では6月には州の副首相が来日して企業関係者100名超を招待してレセプションを開催。ブリスベン五輪を含めてさらなる関係強化に繋げていく狙いだ。