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乗り越えろ人材不足。接客現場も本気の働き方改革-リクラボ 久保亮吾氏

  • 2022年8月1日

 ホテル業界専門の人材会社リクラボの久保亮吾です。宿泊産業の人材市場をとりまくトピックについて書いています。コロナの動向は気になりますが、一方でホテル・旅館・飲食業界の人手不足感が高まっていて、こちらも観光産業には大きな問題としてのし掛かってきています。2020年以降、コロナによって人員を減らさざるをえなかった環境の企業も多く、他産業に人材が流れている現状があるようです。

雇用動向調査に見る離職数

 8月中に新しいデータが発表されるはずなのですが、私は厚生労働省の「雇用動向調査」に注目しています。この調査の「産業別の入職と離職」という項目では、労働移動者を主要な産業別に見ることができます。

 宿泊業と飲食サービス業は合わせた数字で発表されているのですが、それによると最新のデータ(令和3年上半期)の離職者数は「宿泊業,飲食サービス業」がおよそ771万人と全産業の中で最も多く、次いで「医療,福祉」が 670万人、「卸売業,小売業」が 653万人の順となっています。

産業別入職者・離職者状況 厚生労働省ウェブサイトより引用

産業別入職率・離職率(令和3年上半期) 厚生労働省ウェブサイトより引用

 当然、離職もあれば入職してくる人たちもいます。そこで両者を私の電卓でザックリ足し引きしてみたのが下記です。

2019年:12万3800人増
2020年:3万1300人減
2021年(上半期):17万6400人減

 つまり、当初の東京オリンピック・パラリンピック開催予定(2020年)に向けて働き手は12万人強増えたのですが、コロナ前半の1.5年間でそれを全て吐き出し、さらに8万4000人減ってしまったことになります。2021年の下半期の数字は8月中に発表されると聞いています。上半期だけで17万人ですから、2021年全体では大変な数字になるのではないかと危惧しています。

 もともと、2020年に向けて「人手不足」が深刻化することは前々からわかっていました。しかし、コロナという不測の事態によって、この「よせては返す津波のような人材の流入と流出(吐き出し)」が発生してしまっています。

 この2020年から起きた大量の吐き出しが問題をさらに深刻化させ、一方でホテル業界に関しては新規開業が止まらないという現状が、さらに人材不足に追い打ちをかけています。少ない人員のところに一気に客足が戻ってきて現場のシフトは回らなくなり、最前線のスタッフは疲弊し離職が加速するという悪循環も見受けられます。

 人事の皆さんとお話している限りでは一番逼迫しているのが調理部門、次が料飲部門という感じでしょうか。調理人材が不足して、やむなくレストランに定休日を設けたり、営業時間を変更したりするホテルも出てきています。

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