中堅旅行会社が成長に向けて進むべき道は-経営フォーラムから
4社のトップがそれぞれの戦略を紹介
将来を見据えた経営の「考え方を変えるヒント」
中小旅行会社だからこそ、できることを
その後の意見交換では、モデレーターの東氏が事業における「スケールデメリット」の問題について言及。その上で「スケールを絞ることで、質を高めることが可能」と語り、「中小旅行会社だからこそできること」について、パネリストにコメントを求めた。石川氏は「取り組む分野でお客様に選んでいただければ、将来も生き残っていける」と答え、「進むべき道を見極めることでチャンスが生まれてくる」との考えを示した。今野氏は「中小の旅行会社ではスピードを持って、色々なことにチャレンジできるのが強み」と述べた上で、「これから思いもよらないことが起きるかもしれないが、その際に中小は大手よりも早い決断ができるのでは」と発言した。
一方、近藤氏は「AIなどのテクノロジーの導入で、大手と中小との差が開くのではないか」と指摘し、中小旅行会社を取り巻く環境はさらに厳しくなるとの見方を示した。ただし、観光ビジネスの裾野は広いことから「どこにでもチャンスはある。大手が寡占化できないところで、中小が活躍できる機会はあるだろう」と希望的に語った。
そのほか、宿泊予約システムの自社開発に取り組んだものの、数年で撤退したことがあることを明らかにした上で、「現在はジャンルや地域を絞ってIT化を進めている」と説明。高速バス、レンタカー、オプショナルツアーなど、周辺ビジネスでのオンライン販売に力を入れていることを伝えた。
最後は東氏が、沖縄ツーリストの取り組みについて説明。「ローカルOTA」として沖縄に特化した着地型ビジネスを展開し、台湾や韓国、シンガポールなどから多くの訪日旅行者を受け入れている現況を紹介した。東氏は「地域の旅行会社にとって大切なのは、何かあったときのお客様のケア。そこをしっかり取り組めば選んでいただける」と強調。また、地域の旅行会社とDMOが協働することで「地域の価値が生まれてくる」とも語った。