アエロメヒコ、日本での道のりと「旅行会社に利益を」の心根

直行便化やデイリー化に続きJALとの共同運航も実現
加藤支社長が語る今後の展開と、旅行会社への期待は

-かねてからスピーチなどで「旅行会社に利益を提供する」とのメッセージを発信されていますが、その背景や考えについて詳しくお聞かせください

加藤氏 加藤 メキシコという、情報が少なく言葉の壁もあるデスティネーションの特性を考えた時、AMのビジネスの大きな支えになるのは旅行会社なので、旅行会社がAMを売りたくなる、儲かる仕組みについては常に意識している。ビジネスの世界では現場・現物・現実の「三現主義」が重視されることが多いが、AMはさらに「現金」を加えた四現主義を掲げていて、具体的には旅行会社が手数料以上の収益を担保できるシステム作りを徹底し、そのほか既存の旅行商品にAMがキャンペーンで協力するなど、旅行会社が安売りする必要がない、販売しやすい環境作りを最優先している。

 旅行会社には常日頃から提案型の営業を展開し、「AMを利用すれば収益を担保できる」とアピールして、信頼関係を構築することを重視している。近年は名古屋にも営業担当者を常駐させて、西日本の法人や旅行会社への営業を強化しているところだ。旅行会社が安心してAMを使える環境を作ることができれば、それは結果として信頼という名のブランドとして、AMに戻ってくると考えている。

 OTAやLCCなどの登場で近年の旅行ビジネス環境は変わり、AMも北米市場などでは直販化が進んでいる。しかし日本の市場の特性については、本社も理解を示している。

-政治と経済の状況がなかなか安定しないメキシコですが、日本路線への影響をどのように見ていますか

加藤 絶えずアンテナは張っているが、現時点では影響はないと考えている。メキシコには現在、自動車産業を中心に1300社以上の日系企業が進出しているが、政権交代や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの米国の離脱程度では、即座に撤退するとは考えにくい。ただ、自動車などを販売する主な市場は米国なので、北米自由貿易協定(NAFTA)の動きについてはより注視している。

-10年と少しでデイリー化やJLとの提携などを実現し、ひと段落ついた感もありますが、今後の成長に向けたお考えをお聞かせください

加藤 メキシコシティの本社は、関空や中部への新規就航、成田線の増便、難しいかもしれないが羽田への乗り入れなど、考えられる策についてはすべて検討している。日本支社としては、旅行会社と闊達に意見を交わしながら「ニーズがある面白いことを一緒にやっていこう」というスタンスを取り続けている。旅行業は形のあるものを売るわけではないからこそ、魂の入った商品を売ることが大切だ。今後もオンラインでのBtoCビジネスは増えていくと思うが、一方では人が介在するサービスが必要になる。

 AMがツアーに欠かせない移動手段となるためには、次の世代の旅行業界のために収益を担保していくことが大切だと思っている。他社に合わせて料金を下げなくても、やり方次第で生き残り、成長していくことができると思う。同じことは旅行会社にも言えるのではないだろうか。私がバイブルとしているダビッド・J・シュワルツ著「大きく考えることの魔術」には、「最も見たい変化に、自らがなれ」というメッセージが込められている。その言葉に則り、今後も日本でのビジネスを成長させる。

-ありがとうございました