アエロメヒコ、日本での道のりと「旅行会社に利益を」の心根

直行便化やデイリー化に続きJALとの共同運航も実現
加藤支社長が語る今後の展開と、旅行会社への期待は

-NHの参入によって事業環境はどのように変化しましたか

加藤氏加藤 法人需要については「日系企業は日系航空会社を好む」ということを実感している。AMはあくまでもメキシコの航空会社であり、日系の会社になることはできない。しかし日本路線については「日本とラテンが半々」の航空会社であることを売りにしている。

 例えば機内では、就航当時から乗務させている日本人通訳を現在は2名体制に強化し、オンデマンドのエンターテイメントシステムでは日本語で楽しめる映画を50本以上提供している。また、メキシコシティの空港には日本語話者のメキシコ人で構成した、案内のための「アミーゴスタッフ」も常駐させるなどして、日本人のニーズに合わせている。

 一方で、機内食は現地の有名レストランのシェフが監修したメニューを提供するなど、メキシコの会社ならではのサービスも全面に出している。乗務員の気さくで程よい接客も「飛行機は(楽しむためではなく)移動のための手段」として捉えている出張者などには、かえって気楽と感じてもらえるのではないか。これらのさまざまな取り組みの結果として、AMのサービスの評判も少しずつ上がってきたと思う。

 レジャー需要については、NHへの「戦い」は挑まなかった。メディア商品などにおいては取って代わられた部分もあったが、それでも値段を落として競争したくはなかった。理由は、最終的にはお世話になっている旅行会社などの収益が減ると考えたからで、それだけは避けたいと思った。

 NHの就航時にAMがアピールしたのはメキシコシティ以遠のネットワークで、メキシコ国内や中南米など、AMだからこそ提供できる周遊ルートの提案に力を入れた。加えて、デスティネーションとしてのメキシコを売ることに力を入れ、他のデスティネーションからも旅行者を引っ張ってくることを意識した。

-17年10月にはJLとの提携を発表し、今年の2月13日からは共同運航も開始しました

2月20日の共同記者会見で。握手するJL執行役員・国際提携部担当の大島秀樹氏(左)とAM CCOコマーシャル担当最高責任者のアンコ・ヴァン・デル・ヴェルフ氏 加藤 スカイチームに加盟し、日系航空会社のパートナーがいないAMは、JLおよびNHとインターライン契約を結んでいたが、今後はJLを最重要パートナーとして、日本での事業を強化する。JLの主要な国内路線にAMの便名を付与するとともに、料金面でも良いオファーができるようになるので、旅行者も旅行会社もAMを利用しやすくなると思う。

 早ければ数ヶ月以内に、マイレージ提携も開始する。頻繁にAMを利用するわけではない人にとっては、AMの「クラブ・プレミエ」のポイントを「JALマイレージバンク」に移せるようになれば、恩恵は大きいはずだ。

-現在の日本路線の概況について教えてください

加藤 利用者は日本発とメキシコ発が半々で、日本発はビジネス需要が6割を占める。そのほかはレジャー需要が中心で、日本在住のメキシコ人やペルー人、ブラジル人などの利用者も多い。日本発の7割近くが、メキシコ国内の都市を含む、メキシコシティ以遠への旅行者だ。

 日本での販売チャネルの内訳は、旅行会社が7割強、OTAが2割強で、直販は1割に満たない。OTAが2割強にとどまるのは、意識したものではなく「安売りはしない」という方針の結果と考えている。