アイスランド航空がファムツアー、世界に魅力アピール
観光が急成長する北大西洋の孤島で
「氷」にとどまらない魅力に触れる
自然に加えて都市にも魅力が
客室不足もローシーズンには余裕
自然だけではなく都市の生活にもアイスランドならではの魅力は多い。例えば音楽については、人口約34万人の小国ながらビョークやシガー・ロス、近年ではシンガーソングライターのアウスゲイルなど、世界中で熱狂的なファンを獲得しているミュージシャンを多く輩出している。日本からも毎年、レイキャヴィークで開催されている音楽フェス「アイスランド・エアウェイブス」の観覧を目的としたツアーが催行されるなど注目度は高い。そのほか映画などもコンスタントに制作され、日本を含む世界各国で公開されている。
LGBTに対する寛容さや、取り組みの先進性が注目されている、LGBTフレンドリーなデスティネーションでもあることも目を引く。すでに10年には、同性愛者であることを公表していた当時の女性首相が同性婚の法制化に伴いパートナーと正式に結婚して世界中の話題をさらっているし、FIも先月にはゲイの中年カップルを主人公にしたCMを制作して注目を集めた。その一方でアイスランド人には、キリスト教の伝来前から伝わる妖精の存在を大切にするなど(ツアーガイドの説明によれば、人々は「本気で信じている」というよりは「文化の継承のために必要と考えている」という)、古風な部分も垣間見える。
このように多面的な魅力を持ち、しかもヨーロッパ本土から隔絶した孤島のアイスランドは、モノデスティネーションとして各地をじっくりと周遊するのに適した国と言える。ヴァイキングの代表取締役を務める横川泰明氏によれば、実際に日本からのツアーの約8割はアイスランドのみを訪問するモノツアーで、近隣のグリーンランドやフェロー諸島、北欧諸国などを含むツアーをあわせても、アイスランドでの平均滞在日数は4日から5日に及ぶという。
問題は、旅行者の増加に対してホテルの建設が追い付いていないこと。繁忙期などは2年先の客室の確保が必要な状況で、日本の旅行会社は欧米諸国や中国などとの、厳しい客室獲得競争を制する必要がある。しかし予算などの関係上、日本の旅行会社は半年や1年間のタームで商品造成や販売をしなくてはいけない場合が多いため、ホテル側とは大きなギャップが生まれているという。
今回のファムツアーが実施された5月は、白夜が近づきオーロラ観測には不向きだが、平均気温は北部でも氷点下を下回ることがない比較的温暖な時期。また、4月とともに最も客室が安くなる月でもあり、FIとしてはローシーズンでも十分にアイスランド旅行を楽しめることをアピールした形となった。横川氏は個人的な意見と前置きした上で、17年の日本人旅行者数の目標については16年比11.7%増となる2万5000万人を掲げ、その後については「10%増程度を基調に、堅調に数を伸ばしていければ」と語る。
取材:本誌 行松孝純
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