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旅行会社はDMOにどう関わるべきか-JATA経営フォーラム

地域におけるマーケティングの重要性を確認
旅行会社とDMOで観光資源の発掘を

人材や仕組みづくりにさらなる投資を、旅行会社との協働にも期待

モデレーターの福井氏  モデレーターの福井氏は意見交換において「DMOは地域経営であり、ビジネスの要件である人・モノ・金が必要。ビジネスをする人がDMOを作るべきではないか」と問題提起。これに対して青山氏は人材確保について言及し、同社が進める「マルチワーカー」の取り組みを紹介した。

 「マルチワーカー」は1人の人材が宿泊業、農業、漁業、アンテナレストラン「離島キッチン」などさまざまな業種のスキルを身につけるもので、募集に際しては「いろいろな働き方をしませんか」と呼びかけているという。しかし青山氏は「これまでは給与が低くても志で続けられたが、これからは事業性を高めていかなければならない」と課題も口にした。

 菅原氏は「1地域ですべての人材をまかなうのは難しい」とし、広域DMOの必要性を唱えた。高橋氏は旅館の仲居を例に挙げ、「観光の担い手が減っているのが大問題」と発言。JR東日本では運転士なども観光関係の業務に移動できる仕組みを作るなど、以前に比べると観光への関心が高まってきたものの、「まだスピード感や規模感は足りない」と伝えた。

 パネリストの意見に応えて、福井氏は「DMOにはマーケティングの専門家が不足している。そこに旅行会社が携われる機会がある」と提案した。

 人材の問題以外では、「モノ」である着地型商品についても議論。菅原氏は旅行会社の企画担当者と相談しながら観光資源を発掘し、商品を造成していく必要性を強調した。高橋氏は「着地型商品の多くは、現地で初めてその存在を知る。旅行会社が情報をもっと発信すべき」と発言したほか、「国内旅行でもインバウンドでも、日本には(本格的な)ランドオペレーターが存在しないことが問題」と主張。駅や空港、2次交通、宿泊施設、観光素材を1つにまとめる仕組みが必要になるとした。

 資金面については、青山氏が「行政のバックアップとともに、地銀との連携が大きい」と発言。高橋氏は「プロモーションに資金が投入される傾向があるが、人材育成、宿泊施設の再生、2次交通にもっと投資を回してもいい」と提案し、官に加えて民からの投資にも期待した。

 最後にはDMOと旅行会社との関わりについて議論を展開。高橋氏は「地元のDMOと旅行会社が手を組んで、発地と着地を線でつなぐランドオペレーターのような機能を作る必要がある」との考えを披露した。菅原氏はクーポン制作を例に挙げ、「旅行会社が最初から作るのは大変。DMOが間に入り、旅行会社を使って流通させていくことが大切」とした。

 青山氏は、他の離島とのタイアップを見据えていることについて語り、離島の組み合わせによる商品づくりについて旅行会社の協力を求めた。そのほか、より客観的に離島を評価する視点を得るために、地域と旅行会社との人事交流にも期待を寄せた。

取材:山田友樹