JATA、「韓国復活」と「交流1000万人」に向けファムツアー
今年は「全土を売る」スタートの年に
地方の魅力を深掘りし、商品造成へ
地方送客強化へ、平昌五輪をチャンスに
晩餐会後に本誌の取材に応えた田川氏は、1000万人の達成については「17年が起爆剤になれば、平昌冬季五輪が開催される18年にも実現する可能性がある」と期待を示した。訪韓旅行者数と訪日旅行者数の比率については「訪日は年間500万人規模にまで増加したが、そろそろ限界ではないか」と語り、地方送客の強化などにより訪韓旅行者数を回復させることが重要との見方を示した。また、意見交換会で韓国の年間出国者数が2200万人を超えたことを知り、刺激を受けたことについて語り、「韓国は日本に比べて1人あたりの年間出国者数が多い。市場を研究して新たな仕組みを作っていきたい」と意欲を示した。
菊間氏も田川氏と同様の見方を示し、「日本も年間2000万人を達成するには、訪韓旅行者数を230万人から300万人、400万人に引き上げなくてはいけない」と述べ、来年については「韓国旅行復活の年にしたい」と宣言。具体的な方策については「KATA会長の梁氏に秘訣を聞いて、日本も発展していきたい」と語った。
翌14日に、慶州市内で日本の業界誌とインタビューをおこなったKTO日本チーム長の李鶴柱(イ・ハクチュ)氏は、交流1000万人時代に向けて、今後の2年間で訪韓日本人旅行者数をピーク時の12年と同じ350万人にまで回復させたい考えを示した。現実的には「17年は260万人から270万人程度では」と予想しながらも、300万人近くにまで引き上げることができれば、18年には五輪効果で350万人の目標を達成できる可能性も考えられるという。また、12年のピークを支えた韓流ブームについても「依然として一定の影響力はある」と期待を示した。
李氏も今後の日本人の韓国旅行については、地方への送客がカギになるとの見方を説明。「アクセスは不便だが訪れた人の満足度は高い。日本人には詳しい情報を収集して韓国人も行かないような場所を訪れる人が多いので、魅力を高めて宣伝し、市場を拡大したい」と語った。韓国政府は現在、ソウルから地方へのシャトルバスなどを拡充して、送客を強化しているところ。なお、慶州を含む東海岸部については日本からのアクセスが弱いが、この点についてもまずは送客を強化して需要を確保し、航空会社に路線開設を働きかける考えを示した。
日本の旅行会社との協働については、ここ数年は訪韓旅行者数の回復に主眼を置きがちだったが、「1万9800円や2万9800円の商品ばかりではいけない」ことから、今後は高単価の旅行商品についても注力する方針を語った。例えば、時間と予算に余裕のあるシニア層などをターゲットに、1週間程度をかけて地方を楽しむツアーなどを訴求したい考えで、「バス1台でも充実したコースを組める。満足度の高い商品を作っていきたい」という。また、海外旅行離れが進んでいるとされる若い男性にアピールできる、スポーツ関連イベントなどを盛り込んだ商品の開発も進める方針を示した。
李氏は各地の自治体やRTO(Regional Tourism Organization)との連携も強化する考えも説明した。各地方で観光に対する取り組みの度合いに差はあるものの、KTOが主導して一体的かつ効率的なプロモーションを進めたいという。そのほか、近年の日本の観光政策にも言及し、「最近は政府の行動のスピードが速い。かつては韓国の方が速いと思っていたのだが」と述べ、中央政府と地方の協力関係構築などの参考にしたいとした。