トップインタビュー:東武トップツアーズ代表取締役社長 坂巻伸昭氏

合併で2社の強みを活かしたシナジーを
インバウンド強化、タイに新拠点計画

-今後の支店の展開など、販売戦略についてお聞かせください

坂巻 2014年時点で旧トップツアーは116支店、旧東武トラベルは58支店、計174支店あった。合併により156支店となったが、47都道府県に必ず支店がある、ということはしっかりと維持していく。ただし、組織は固定化せず、顧客のニーズなどを見て、常に見直しをかけていきたい。どういう市場があるのかをリサーチした上で、支店の増減を考えていく。

 また、カウンターのある支店についてだが、旧トップツアーの支店にはカウンターがほぼなく、旧東武ツアーの支店でカウンター機能を続ける形を取る。カウンターは東武鉄道の駅における1つの顔。旅行を楽しみたいという個人のお客様がFace to Faceできちんと相談できる、必要な所だと思っているので、維持していかなければならない。

 カウンター機能は収益的に厳しい状況にあり、あり方を検討していかなければいけないと思うが、駄目だから閉めるのではなく、どうすればいいかをしっかり考えていきたい。収益性だけでその是非を問うということではないと思う。

 ウェブサイトも活用していきたい。ウェブサイトは安い商品を売るものではなく、あくまでも1つのチャネルとして捉えている。支店を増やさなくてもチャネルは増やせる。また、Facebookも重要なツールだ。今後ソーシャルメディアについては、例えばインバウンド増のために海外のフォロワーを増やすといったように、戦略的に考える部分があっても良いと思う。


-今後の募集型企画商品の展開についてお教え下さい

坂巻 上期は(旧東武トラベルの)「ユニック」と(旧トップツアーの)「キュート」のブランド名でやっていく。10月以降については、ブランド名をどうあるべきか検討している。国内と海外で分ける形や、1ブランド、2ブランドとして分ける考え方などがあり、検討しているところだ。ただし、あまりブランド名が多いと薄まってしまう。一方でブランド名がお客様の中に浸透しているという部分もあるので、それを踏まえて考えていかなければならない。

 また、テーマ特化型の「トップツアープラス」や地元密着型の添乗員付きツアー「東武旅倶楽部」などは今後色々なチャレンジをしていく上で必要な分野。しっかりと取り組んでいきたい。

 パッケージツアーについては、まずは国内の充実が必要だと思う。東武グループの一員として、東武鉄道沿線の栃木や群馬、日光、鬼怒川から続く福島会津地区、こうしたラインの路線の商品を1つの大きなミッションとして捉えている。

 海外旅行については、為替や世界情勢などの影響で旅行に対する抵抗感のようなものが生まれている。実際の数字を見ても、国内は伸びているが海外は減少、という流れが出ている。ただ、それがずっと続くかというとそうではない。東南アジア、特にタイなど海外旅行で伸びているエリアは十分あり、しっかり取り組んでいく。現在落ち込んでいる中国や韓国についても、途切れさせるのではなくきちんと継続させていかなければならない。


-団体旅行では2社それぞれの強みがありますね

坂巻 旧トップツアーは幅広く団体を扱っており、注力してきたMICE、スポーツ、公務に対しては今後も力を入れ、人的配置を含め明確に特化していきたい。一方、旧東武トラベルの強みである宗教部門などは拠点が増えることがプラスになる。今まで全国営業をしたくても拠点がなかったが、今回の合併による支店増で販売チャネルが非常に増えている。

 教育旅行では、旧トップツアーは関西圏や東北が、旧東武トラベルは九州や東武鉄道沿線が強い。これを機会にしっかりとお互いの良い所を見ながら、市場環境の見直しを続けていきたい。

 団体は旧トップツアーの7割、旧東武トラベルの4割を占めており、統合後も旧トップツアーのパイが大きいので、7割弱が団体になる見込みだ。個人から団体へ大きく舵をシフトしていくことは考えておらず、現在のバランスを保っていきたい。