現地レポート:パラオ、ウェディングの新デスティネーションに

  • 2012年7月26日

潜在力高いパラオのウェディング
ユニークなスタイル、独自性が強みに

リピーター以外へもアピールを
パラオならではの利点を重視

シーバードクルーズも日本人が運営。日本語での対応が可能  先述したとおり、パラオはリピーターが多く、定宿を決めてFITで旅行する人も多い。ウェディングも旅行会社を通さず直接施設に申し込む人もいるという。

雨天の場合も屋内で挙式が可能。セッティングも外とほぼ同じ  しかし、これから特にアピールしていきたいのはパラオに来たことがない人々。これまでもグアムで挙式し、ハネムーンでパラオというケースは見られたが、挙式の「ついで」ではなく「パラオでのウェディング」に価値を見出してもらうことが肝要だ。

景色が変わるのも楽しいクルーズ。挙式は停泊中に行なう  今回参加した旅行会社からは、「チャペルがひとつでもあれば」という要望が寄せられ、これに対しPVA局長のダーリン・デ・レオン氏は「商工会議所などとともに前向きに検討したい」と話した。

PVA局長のダーリン・デ・レオン氏  ホテルの絶対数が少ないことも懸念され、さらには有名ホテルがあればもっといいのではないか、との意見も。レオン氏によると、2008年のリーマンショック以降、投資家の動きは鈍くなっていたが、このところ再び活性化しているという。だが、さまざまな規制があるため、業を煮やして撤収してしまうというケースもある。巨大なプロパティを建設することは、実質難しいようだ。ただ、ホスピタリティに関しては4月に観光事業従事者専門の学校が設立されたこともあり、今後洗練されていくだろうとの展望を示した。

 一方、「これは商品化できる」という感想を持った旅行会社もある。エスティーワールドのムーンシェル/海外ウェディング&ハネムーン専門デスクの鈴木信二氏は、「パラオにはニューカレドニアなどと並べてもひけをとらないきれいなビーチがある。きちんと説明すれば、リピーターでなくとも興味をもってもらえると思う」と販売に自信を見せる。ビーチウェディングで人目が気になるカップルには、無人島でも挙式が可能ということもあり、ニーズに十分こたえられると感じたという。

 パラオウェディングの魅力は忙しすぎないところにある。PVA日本支局の芝村剛氏も「ほかと競合するのではなく、パラオ独自の魅力を見出してもらえれば」と話すとおり、その素朴さ、オリジナリティにこそ、ウェディングデスティネーションとしての価値があるのではないだろうか。

 

取材協力:日本旅行業協会(JATA)、パラオ政府観光局、デルタ航空(DL)
取材:岩佐史絵