トップインタビュー:大韓航空日本地域本部長 權炳燦氏
震災乗り越え日本発需要はプラス成長
韓国発も今年後半に回復見込む
-日本市場での流通戦略の点で、旅行会社をどのように位置づけていらっしゃいますか
權 日本に就航して40年以上が経つが、KEは旅行会社とともに成長してきたと思っている。旅行会社と航空会社はひとつの関係。一緒に努力しながら成長していきたい。一般のお客様については旅行会社からの情報が欠かせない。情報を交換しながら、お互いに利益を上げられる体制を作っていきたい。
オンラインを無視することはできないが、それがすべてになるわけではない。旅行会社なしに航空会社の仕事はできない。私は大震災の後、大手旅行会社をまわって「KEは減便しない」と宣言した。ビジネスは良い時も悪い時もある。長いスパンで考えて、信頼関係を構築していくのが大切だと思う。
-日本人にとって韓国は国内旅行の延長という感覚になっています。今後の日韓間の相互交流に対してどのような期待を持っていますか
權 2010年、韓国から日本は243万人、日本から韓国へは302万人がそれぞれ訪れた。震災の影響がおさまって、5年くらいすると相互交流は1000万人規模になるのではないかと思う。お互いにとって世界で一番親近感がある国々。必然的に交流は増えていくだろう。
日本発の韓国旅行商品についていえば、これからはソウルや釜山だけではなく地方の素材に期待が持てるのではないか。韓国の旅行業界も一体となって、地方商品の造成を日本の旅行会社に働きかけていくべきだろう。
-今年は日系LCCが就航を開始するなど、日本市場でLCCの勢力が拡大しつつあります。この影響をどのようにご覧になっていますか
權 飛行時間が1時間半から2時間の日韓路線は、LCCにとって一番ビジネスを展開しやすい市場だろう。長距離路線とは異なり、短距離路線ではサービスの差別化はなかなか難しい。一定の需要がLCCに流れるのは避けられないだろう。
しかし一方で、高品質のサービスを求める需要はある。充実した機内サービス、仁川からのネットワーク、多様なスケジュールなど、KEはLCCにはないメリットを提供できる。価格でLCCと競争するつもりはない。
例えば、グループ会社のLCCであるジンエアーは、独自の戦略を持ってデイリーで札幌に飛ばしている。KEもダブルデイリーで飛ばしているが、協力して何かやっていくということはない。むしろ、グループ会社でありながら競争している。
LCCの登場は、これまで飛行機を使ってこなかった市場を新たに開拓する良い機会だろう。レストランに例えれば、高級レストランを選ぶ人もいれば、ファストフードを選ぶ人もいる。市場が多様化している中で、KEとしてはターゲットを絞って、KEのメリットを提供しながら勝負していきたいと思っている。
-ありがとうございました