トップインタビュー:エアアジアX(前)、戦略面の歩み-LCCは「ユニクロ」的

  • 2012年8月7日

マルチ・ハブ戦略でネットワーク展開
「ハイブリッド化」は否定



-LCCがプレミアムサービスを提供し、既存大手がサービスの個別販売により追加的収益の確保をめざすなど、「ハイブリッド化」が進んでいます

オスマン・ラニ ハイブリッドという言葉は好ましくないと考えている。メルセデス・ベンツとユニクロを例に挙げると、いずれも非常に明確なポジションでビジネスをしている。同様に、対極的な立場にある我々とシンガポール航空(SQ)もそれぞれ安定的に利益をあげている。中間的な立場は安定には結びつかない。

 レガシーキャリアも中間の位置で苦しんでいるだろう。例えば、我々との提携が解消となったマレーシア航空(MH)も、AKと勝負するのであればユニットコストを大きく下げなければならないが、60%も削減するとなると簡単なことではない。一方で、新機材を導入しサービスを向上させSQと勝負するにしても容易ではない。しかし、どちらかを選ばなければ生き残れない。

 我々がプレミアムシートを設置していることについては、両極のサービスを提供するという「ハイブリッド」とは異なる考え方だ。エアバスA330型機に10%のスペースがある場合、2つの選択肢がある。一つは、全席エコノミーにして400席にすること。しかし、年間で満席になるのは限られ、搭乗率90%でも10%の空席がでてくる。

 これに対して、そのスペースをプレミアムシートにすると、プレミアムシート12席は収益としてエコノミーの30から40席分に相当し、年間を通じてそのスペースから収益を期待できる。重要なのは、プレミアムシートを導入してもユニットコストが高くならないということだ。レガシーキャリアよりも1000ドルほどセーブできてゆっくり寝られるなら得だ、と考える旅行者をターゲットとしており、ラウンジやシャンパン、キャビアなどにコストをかけるようなことはしない。

>>>後編、“日本市場での展望と差別化”に続く
 トップインタビュー:エアアジアX(後)、日本市場での展望と差別化