KDL×SILが淡路島を語る 第二回「人手不足解消 ハイブリッド農業と農福連携」
皆様こんにちは!兵庫県神戸市のIT企業、株式会社神戸デジタル・ラボ(以下、KDL)と申します。本掲載では、KDLが南あわじで取り組んでおります農業のデジタル化や観光業(特に飲食店)の混雑の可視化、南あわじが抱える課題や取り組みについてご紹介します。一次産業や地方創生や街づくり、観光業などに興味のある方はぜひご一読ください。
第二回は、生まれも育ちも兵庫県・淡路島、一般社団法人スマートな島ぐらし推進協議会(以下、SIL)の理事を務める眞野 方仁様に「人手不足を解消するハイブリッド農業と農福連携」について伺いました。
―深刻な後継者問題の解決法
農業というのは、いわゆる3K(汚い・きつい・危険)です。農家に生まれた子どもたちは小さいころからマイナス面を見て育ってきているため農業をやりたがりません。こういう状況の中で若者の担い手が増えるかというとそんな訳はなく、現在一次産業である農業の担い手がどんどんいなくなっています。実質、現在農家の大半は年金をもらいながら農業をする「年金農業者」の方です。
また、農作物の流通が従来のままの市場出荷形態では安定収入を確保しづらいため、今のとがった農業経営をする若い方がたは、出荷先と直接契約する方が多いですね。それには出荷先を探す力も必要ですし、プレゼン力もいります。もちろん自分の野菜のこだわりや他との違い、長けているところを分かっている必要があります。
写真:新しい品種に取り組む農家の方
従来の野菜栽培は継続しつつ、新たな特徴を持った野菜の栽培も並行して進めていきましょう、収益を安定させましょう、という取り組みを「ハイブリッド農業」として取り組んでいます。農業は厳しい世界です、担い手が少なくなり生産量が減ると「産地」というブランドの付加価値がなくなる恐れがあります。儲かる農業だけ、儲かる野菜だけを栽培するというのは、その地域を揺るがす大きな問題になりかねないのです。
―農業と福祉の連携に向けた取り組み
現在、KDLさんと南あわじで「農福連携」を進める準備を進めているところです。障害を持った方はどんな地域にも一定数いらっしゃいますが、そういった方たちがその地域の主産業に関われないという現状を疑問に思いました。その地域に住んでいる人が障害など関係なく、主産業に積極的に関わり、産業を盛り上げて行く必要もあるのではと。
ですがそんなに簡単ではありません。先ほどもお話しましたが、3Kの中でリスクを抱えている方が働くのは大きな困難が付きまといます。そこで、先端テクノロジーを導入することによって障害を持っていても農業に関われる仕組みを創れないか?という発想に行きつき、構想に構想を重ね、KDLさんとシステムの開発を進めているというわけです。
―デジタル化に関する課題は?
写真:農福連携に向けた実証実験の様子
健常者と同じように仕事ができるための「底上げ」システムは、AIや画像認識という技術が当たり前になりつつある現代ではできるはずだと思いますし、この構想になくてはならないものです。今行っているのは障害のある方にスマートグラス(メガネ型のウェアラブルデバイス)をかけていただいて、トマト栽培の葉っぱを摘葉する作業をナビゲートするシステムです。農業と福祉の連携についてはデバイスの開発が一番難しい所だと思います。農業の部分は細かいものになりますが、そこはKDLさんに頑張ってもらわないといけないですね。
デジタル化への課題もありますが、眞野様は南あわじの主産業は一次産業(農業・畜産・水産)だということから、自然豊かでないと主産業が成立しない中で、観光という視点にどう繋げていくのかが課題だと考えられているとのことです。というわけで、次回は「南あわじの観光と一次産業の融合」について伺います!
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