バンヤンツリー創設者が語る日本進出の理由「真の日本がある地方にこそビジネスチャンス」
制限解除後のリベンジ消費に期待
持続可能な地域コミュニティづくりにも注力
チャン サステナビリティというと、寄付やチャリティのような取り組みと思われているところがありますが、私たちの取り組みのKPIは、ビジネスとしてローカルのものを使い、地域コミュニティを持続可能な社会にすることです。節電も節水も、収益につなげていく。バンヤンツリーはいつも、地域にとって有益であることを心がけています。
ホー サステナビリティというと、気候変動対策や二酸化炭素排出削減などに目が向いがちですが、根本は地域コミュニティとのつながりだと思っています。企業はコミュニティへの責任を持つべきです。日本の企業は地域のサプライヤーとの長期的な関係を重視していますが、それは、コミュニティ重視と責任の表れだと思います。私たちが日本でビジネスを展開するときに、その考え方はとてもフィットしています。
一方、環境保護にも力を入れています。バンヤンツリーは2001年に「Green Imperative Fund(GIF)」という基金を立ち上げました。これは、宿泊客にもオプションとして1泊あたり2ドルの寄付を募り、その積立金をホテル運営以外の環境保護の取り組みに活用するものです。
チャン 2009年にはCSR活動を推進していくために「Banyan Tree Global Foundation」も立ち上げ、地域コミュニティとの連携で持続可能な開発も進めています。例えば、中国では学校と協力して、水の浄化を進める「ウォータープロジェクト」も推進しています。
ホー 加えて、「Seedling Program(苗木プログラム)」も展開し、サステナビリティという考え方で若い世代の教育にも力を入れています。
チャン 非常に長く厳しい戦いだと思います。しかし、大切なのは、決して諦めず、自分の価値を認識し、それを信じて、パフォーマスで示すことだと思います。現在の日本支社長(椎名祥子氏)は、最初はあまり英語も得意ではありませんでしたが、自分でさまざまなことを勉強して、今では男性と同等、それ以上の仕事をしています。
彼女はかつて、「男性が、ゴルフや飲み会などをしながら1回のミーティングに時間をかけるのであれば、私はその時間に5回のミーティングをする」と言ったことがあります。決して「女性だから」と言い訳はしませんでした。「女性でも男性と同じことができることを証明したい」と言っていました。私たちは、そういう彼女の姿勢をサポートしてきました。
現在、バンヤンツリー・グループには14名の女性ジェネラル・マネージャーがいます。スタッフ教育でもダイバシティとインクルージョンを重視しています。
変化が必要なのはリーダーシップだと思います。リーダーは、ジェンダーの多様性だけでなく、年齢の多様性や能力の多様性を重視していくべきでしょう。その違いがビジネスでもいい結果を生みます。
ホー 男性も考え方を変えなければいけないでしょう。女性は男性とは違う発想を持っています。国際的な企業が、同じような発想ばかりを持っていたら、ビジネスは発展しません。男性、女性に関わらず、違う視点が非常に大切。これまでの経験から、女性は男性よりも独立心が強いと感じています。
チャン 日本の女性に向けては、「チャレンジを恐れず、自分で仕事のポジションを掴んで」と伝えたいです。