【上海現地レポート】業界により回復にばらつき、航空は順調も宿泊が低調に
3か月間(2022年4~6月)のロックダウンの影響を受けて、上海は現在、ビジネスと生産の再開を加速しています。2022年6月1日から、地上バスや鉄道、フェリーが通常運行を再開しました。また、自動車の通過を制限するポリシーの終了とともに、タクシーも通常運用を再開。航空は徐々に再開、国内線は上海に発着し搭乗率が調整されています。約3ヶ月間閉鎖されていた上海ディズニーランドは、6月30日に営業を再開すると発表しました。夏のピークシーズンが近づくにつれ、観光業にも回復の兆候が見られます。
※この記事は6月30日の情報を基に執筆しています。
端午節休暇中の上海観光市場のパフォーマンス
今年の端午節は上海にとって非常に重要です。端午節はドラゴンボートフェスティバルとも呼ばれ、中国四大伝統祝日の一つです。毎年5~6月に龍船競いや粽を食べるイベントが行われます。ドラゴンボートフェスティバルの初日には、上海の40以上の観光施設が営業を再開し、合計40000枚以上のチケットが販売されました。チケット予約サービス内の上海海昌オーシャンパークのページビューは前月比約1800%増加しました。さらに、上海ハッピーバレーと上海サファリパークのドラゴンボートフェスティバル期間中の1日の平均予約数は、ロックダウンが始まる前の3月の1日の平均と比較して、それぞれ7倍以上と4倍以上増加しています。
しかし、上海の宿泊施設にはほとんど予約が入らないままです。端午節の休暇前に、ロックダウンの影響で営業を停止していた550以上の高級ホテルは運営を再開したものの、一部営業を再開していないホテルもあり、全体として観光施設の予約数ほど予約の急増はありませんでした。
上海の厳しい宿泊業界の現状は、コロナ流行の不確実性に影響を受けています。上海のエピデミック予防および管理要件によると、上海に入るには48時間以内の陰性証明が必要があり、ほとんどの都市は上海から戻ってくる人に対しても予防および管理措置をまだ行っています。広州を例にとると、過去14日間に上海から広州に入った人々は、7日間の在宅検疫+7日間の在宅健康監視を実施する必要があります。
今年の端午節の上海の傾向は、地元の人々がリラックスし楽しむことにフォーカスされました。よって、宿泊施設の需要はほとんど発生しません。同時に、多くのホテルでは、48時間または72時間のPCR検査の陰性証明書が必要です。これにより、地元の人々がホテルに滞在する意欲がさらに低下しました。ビジネスに関しても、現在上海への出張者は少なく、州外企業も上海でのコロナ感染を懸念しています。また、当面の間上海では大規模なコンベンションや展示会を開催できません。
ホテルは徐々に営業を再開しているものの、従業員の減少は深刻であり、採用も難しい現状は今後大きな課題となるでしょう。さらに、現在の上海の新型コロナウイルス流行防止および管理ポリシーの要件によれば、従業員は職場に出勤する前に72時間以内のPCR検査陰性証明書を提出する必要があり、これもホテルの人員配置に困難をもたらします。
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