お宿好きが思う「エージェントの在り方」-Loco Partners塩川一樹氏

  • 2022年6月23日

「内覧したあとに真価が問われる」

 最後に内覧アトのポイントです。しっかり準備をして内覧をさせてもらうと、理解も深まり充実した気持ちになります。ですが満足して終わりではなく、重要なことはそれを「世の中に伝えていく」ということです。その第一歩が社内の共有になります。

 さまざまな共有の方法があるかと思いますが、弊社では社内向けSNSをツール利用して、内覧の目的や経緯、そして現地で教えていただいたことのコメントや写真がストックできるようになっています。その投稿報告に対して、社内の仲間たちも質問や感想などを自由に反応できるようになっていることから、理解を深めるきっかけや、そのお宿に対する愛着へとつながっていきます。

 HPやいただいたパンフレットだけでなく、現地現物から感じ取れた一次情報こそ最大の価値です。経験や学びを個人の経験にとどめることなく、社内全体で咀嚼し、継承していくことも、クライアントに対しての敬意なのではないかと思っての取り組み事例でした。

おしまいに「大いに楽しみ、感情移入してみる」

 と、ここまで私たち自身の初心を思い起こしながら「エージェントの在り方」について、やや硬めに綴ってみました。一方で旅館・ホテルは非日常を提供するもの。それを仕事で触れさせてもらえることは大変貴重ですし、幸せなことでもあります。様々なお宿を知ることを幸せに思い、感情移入してみてこそ、熱量のあるメッセージにもつなげていけるのではないかと思います。

 お宿の皆さんと一緒になってお客様の笑顔に対して喜びあえる関係性こそが、継承していきたいエージェントの在り方ではないかとも思ったりもします。こうした姿勢を忘れずに、審美眼を養いながら、お宿の魅力を発信するエージェントとして貢献していきたいと改めて思いました。

 変化が大きな時代だからこそ、旅行や宿泊領域の長期繁栄に必要な大切な価値観について触れてみました。皆さんの中にある「エージェントの在り方」もぜひお聞かせください。

塩川一樹
Loco Partners代表取締役副社長。1979年生まれ、立命館大学経済学部卒。JTBを経てリクルートへ中途入社。旅行事業部にて首都圏・伊豆・信州エリア責任者を歴任し約2,000施設以上の担当を歴任。その後トラベルズー・ジャパンにてエンターテインメント企業、ホテル・旅館の営業責任者として従事。2012年7月にLoco Partnersに取締役として参画し、2020年4月より現職。趣味は宿巡り(年間100泊など)、レストラン巡り、ゴルフ。