他ホテルや観光施設とのコラボ強化で地域の観光を盛り上げる―グランドプリンスホテル広島 総支配人 平瀬春男氏

  • 2022年5月31日

目標は瀬戸内に7泊、連携をマネジメントする旅行会社の力に期待

-客層構成をお聞かせください。

平瀬 コロナ禍前は東京3割、県内3割、その他国内2割で、インバウンドは2割未満という構成でした。現在はインバウンドがゼロで全体の7割が県内客、残りが東京などの県外客です。

-海外でも有名な広島ですが、他のホテルも含めインバウンド比率は意外に低いように思います。

平瀬 当ホテルに関して言えば、コロナ禍前は平均稼働率が8割を超えており、全体の収益を考えると必ずしもインバウンドを取りに行く必要がなかった面があります。欧米客は富裕層が多く客室平均単価が高いイメージがありますが、広島のインバウンドの主力はアジア系の団体募集ツアーで、単価が高い市場ではなかったからです。

-コロナ禍前のゴールデンウィークと今年の同時期とでは客室平均単価はどう変化しましたか。

平瀬 コロナ禍前より若干下がりましたが大きな変動はありません。

-利用目的について、ビジネスとレジャーの構成比はいかがですか。

平瀬 レジャー目的がほとんどです。駅に近いホテルがビジネス客によって需要回復で先行してきているので、今後レジャー目的のお客様が増えてくることを期待しています。

-宿泊日数は何泊程度を期待していますか。

平瀬 少なくとも2泊ですね。できれば7泊して瀬戸内海を楽しんでほしいと思っています。広島県の観光の課題は日帰り客が多いこと。大阪や九州から日帰り圏内のため、滞在客が増えにくい環境です。そこを県全体で何とかせねばならないですし、県下のホテルや観光施設が協力し合って取り組むべき課題だと考えています。

-販売チャネルについて教えてください。

平瀬 自社の直販比率は約20%。プリンスホテル全体や事業所ごとにも様々な特典がある、西武プリンスクラブの会員による自社ホームページ経由の購入が主体です。OTAは40%で、残りが旅行会社です。

-旅行会社に期待する点は何ですか。

平瀬 いまやホテル単体を売ればいい時代ではありません。ホテル単体での発信力には限界があり、同業を含むさまざまな事業者と協力して集客に努めなくてはデスティネーション競争の段階で負けてしまいます。そういう意味で連携をマネジメントする旅行会社の力に期待します。たとえば広島も、山間地を含めた空き家利用の宿泊施設が増えており、そうした施設とのコラボなども考えたいので、ホテルにはできない調整役、マネジメント力がほしいところです。

-例えば瀬戸内海沿岸で7泊してもらうために、グランドプリンスホテル広島に2泊、他ホテルに2泊、民泊に3泊、それに交通手段なども組み合わせるといったコーディネーションに期待されると。

平瀬 そういうことです。またインバウンドで言えば、まず日本を選んでもらう部分は政府にお願いし、広島への誘致は県に頑張ってもらう。そして最後に各ホテルが特徴を活かして集客する。そのプロセスに筋が通っていることが重要で、点としてバラバラに動いてもインバウンド誘致につながりません。

次ページ >>> コロナ禍で更に高まるウェルネス志向に応える