【台湾現地レポート】海外渡航復活へ向けて観光産業が抱える問題
人材不足の問題抱えるも
国内ナイトマーケットは回復傾向
過去数年間、海外から台湾への観光客数は年間1100万人を超えていましたが、2021年には約14万人にまで減少し、インバウンドはほぼ停止しました。現在、台湾の1981の企業が無給休暇を実施しており、割合として観光関連企業の数が最も多くなっています。新型コロナウイルスの流行が続き、海外旅行ができないため、2022年上半期の観光産業の回復は難しいと予想されます。今年に実施された無給休暇のほとんどは6か月以上であり、過去(2021年)3か月未満の実施よりも長くなっています。現在の無給休暇は主に外国人観光客向けの運輸、航空会社、ホテルなど、国境管理の影響を大きく受ける業界で実施されているため、他の業界よりも期間が長くなります。
※この記事は4月29日の情報を基に執筆しています。
台湾の国際観光回復のチャレンジ
台湾政府は最近自宅隔離の時間を短縮し、ビジネス目的の出張を再開することを発表しました。次のステップは国境を越えた旅行ですが、2年以上続いたコロナの影響で観光業界は数千人の人材を失いました。封鎖が解除された直後にインバウンド観光客が戻ったとしても、観光業界の人材とサプライチェーンを見つけるのに半年かかると推定されています。もちろん国境が開いてもすぐにゲストが自動的に戻ってくるわけでもありません。旅行代理店もパートナーシップの再構築や新しいパートナーを見つけるために対応を迫られるでしょうし、航空会社も航空機の使用方法やルートを計画する問題を抱えています。
観光産業の人材流出の影響で現在は十分なツアーガイドの人数が確保できなくなっています。多くの外国語をあやつることができる人材は他の産業に転職してしまいました。新しい人を一から訓練したとしても、研修後に環境に慣れるまでに少なくとも3〜6か月かかります。観光業界の喫緊の課題は観光商品が一夜にして復活することはないということです。特に観光業界から人材が流出してしまっているという問題については、採用が問題となるだけでなく、旅行代理店の労働戦略も変化する必要があります。2年前に国の方針として国内観光に注力しましたが、海外旅行が解禁された後すぐにスタッフを海外観光に従事させることは困難であることは理解に容易いかと思います。短期的では熟練した人材はなかなか見つからず、新人を採用したとしてもその後育成が必要であり、観光業界には人材不足による多くの課題があります。
台湾桃園空港の窮状
新型コロナウイルスの流行の影響を受けて、2021年の桃園空港の乗客数は90万人となり、2020年と比較して87%減少しました。桃園空港は1979年2月26日に開港し、2021年末まで43年近く運用されていますが、これは過去最低の記録です。空港運営初年度の乗客数は400万人を超え、2019年の乗客数は過去最高の4800万人を超えました。2020年3月以降、桃園空港の乗客数は急激に減少しており、2020年の乗客数は約750万人、2021年にはわずか90万人と遷移しました。2022年の旅客輸送量は2019年の3%、つまり約150万人と推定されています。
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