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KNT-CT、21年度下期に黒字化、今年度も利益40億円に自信

  • 2022年5月12日

店舗・人員削減の現状、需要見通しは

 KNT-CTホールディングスの2021年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の連結業績で、売上高は1400億円、営業損失は77億円、経常損失は39億円、当期純損失は58億円となった。コロナ禍の影響が一切なかった2018年度と比べると売上高で66.0%減であるものの、前年比では売上高が59.2%増となったほか、営業損失、経常損失、純損失はいずれも4分の1以下へと大幅に圧縮した。

(左から)専務取締役の三宅貞行氏、代表取締役社長の米田昭正氏、専務取締役の小山佳延氏

 さらに、四半期ごとに見ると第3四半期は7.3億円、第4四半期は0.7億円の営業黒字を計上。第4四半期の黒字化は史上初。今年度は売上2390億円、営業利益、経常利益、純利益はそれぞれ40億円の達成を目指す。

 5月12日の会見で同社代表取締役社長の米田昭正氏は、第1四半期の売上が近畿日本ツーリスト(KNT)で前年の3倍、クラブツーリズム(CT)で4倍になったと説明。そのうえで18年度と比べると「半分ちょっと」に留まってはいるものの「おかげさまで動き始めた」とコメントし、5ヶ年の中期経営計画の目標達成に向けて意欲を語った。

2021年度連結業績(単位:百万円)

期間総売上高営業利益経常利益当期純利益
2019年3月期411,8212,5322,8341,279
2020年3月期385,362-1,608-1,415-7,443
2021年3月期87,889-27,082-16,727-28,456
2022年3月期139,957-7,686-3,886-5,771
2023年3月期予想259,0004,0004,0004,000

旅行需要「ほぼ消滅」もBPOなど特需、事業構造改革も進捗

 21年度は、国内、海外、訪日のいずれも「ほぼ消滅した状態」が続いたものの、県民割や隣県割などの助成金を活用した旅行販売に力を入れたほか、夏季と冬季の五輪でも大会関係者の輸送業務などを受託。さらに、200の地方自治体から700件を受注したというワクチン接種や検査の会場運営などの「特需」もあった。

 また、ウェブ販売の強化やSDGsをテーマとした高価格帯の「KNTハイクラスサイトBlue Planet」の開設や、アバターによるオンライン接客、KDDIと組んだサブスクリプションサービス「クラブツーリズムパス」なども開始した。

 一方、事業構造改革のうち販管費の削減では、2021年度は410億円として18年度から285億円圧縮。特に固定費は447億円から270億円へと大きく減らした。

 具体的には、地域事業会社など9社を1社に統合したほか、コロナ前には150店弱あった個人店舗を団体店舗との統合も含めて29店舗まで削減。また、従業員も約7000人いたところから今年4月段階で4900人まで削減した。

CTの国内はコロナ前の回復予測、海外は遅れ

 今年度については、国内旅行はKNTの個人旅行が18年度比70%、CTが100%を予想。一方、海外旅行はKNTの個人旅行が25%、CTは10%と見ている。海外の回復の遅れについては、入国者の上限が2万人に留まっていること、燃料価格の高騰と円安と宿泊費用の上昇によるツアー単価の値上がり、さらに欧州への需要に対するウクライナ戦争の影響を織り込んだ。

 そうしたなかでも、販売面ではウェブ販売の更なる強化やワクチン接種会場などの受託で構築した自治体などとの関係活用などを予定。販管費の削減などもあり、40億円の営業利益もこのままいけば達成可能と見ているという。

 なお、事業構造改革のうち人員面では、追加の早期退職などは実施しないが自然減により今年度末には4500人強となる見込み。ただし、非旅行業の売上を旅行業と同規模まで伸ばす目標を掲げているため、非旅行業部門では新規雇用も必要となる。

1億円に減資、役員人事と組織改正も

 KNT-CTでは5月12日、資本金の額を80.4億円から1億円へ減資する方針も発表。6月14日予定の定時株主総会で付議する。

 また、役員の人事内定と組織改正も発表した。人事では、社外監査役の河崎雄亮氏が同職を退任して社外取締役に就任。また現常務執行役員社長室長の泉川邦充氏が退任し、現総務広報部部長の香川晴美氏が執行役員に就く。

 組織改正では、6月14日付けで広報と広告宣伝を統括する部門として「コーポレート・コミュニケーション部」を新設。これに伴って総務広報部は総務部に名称変更する。