ボイスドラマから新しい旅を—奈良・興福寺が若者にアピール
直木賞作家の澤田瞳子さんの歴史小説「龍華記」のボイスドラマが2月下旬から、動画配信サイト・YouTubeで無料配信されている。平安末期に起こった南都焼き討ちをテーマにした作品で、ドラマ化に協力したのが法相宗大本山・興福寺の境内管理室長執事の辻明俊さんだ。
「龍華記」は2015年の興福寺中金堂落慶を記念して執筆された作品。平家が隆盛を極める平安時代末期、悪僧(僧兵)として興福寺に身を置く範長が平家の支配に抗おうと、興福寺と東大寺の僧兵たちと平家に小競り合いを挑むが、南都を火の海にしてしまう思わぬ大乱になる…という話。
ボイスドラマは全6話で、2月25日から毎週金曜日20時に順次公開している。1話約15分で、人気声優の内田雄馬さんや間島淳司さんが出演しているのも話題。奈良市と合同会社榧(安達えみ代表)が非接触型観光事業・もくたびとして一般社団法人アニメツーリズム協会により制作された。
また、スマホアプリSpotrideを活用した作品の舞台となった興福寺などをめぐるスタンプラリーや、実際に観光マップを作成しアニメの聖地巡礼のような観光を楽しむこともできる。
辻さんは、コロナ禍によって修学旅行が減るなど興福寺や奈良の歴史に触れる機会が乏しくなることを危惧。「若い人たちにアピールできれば」と全面協力した。「新しい形の奈良の旅が提供したい」と期待する。
興福寺では国宝・五重塔の内部を拝観できる特別公開を3月に予定していたが「コロナが落ち着いてから、ゆっくりご覧いただきたい」。
情報提供:トラベルニュース社