IT系に行った元社員が振り返る今週のニュース ー 利益がほぼない商品を売る理由
この週末は、ロシア軍がウクライナに攻め込んだニュース一色ですね……経済圏に組み込んでしまえば経済制裁を恐れて戦争には踏み込めない、という現代の平和への理論が全て踏み潰されたような悲しいニュースです。平和産業である観光産業にも、影響があることでしょう。ウイルスで平和が乱されるのは仕方がないにしても、人同士の争いで平和が失われるのは耐え難いものですね。
今週のトラベルビジョンで個人的に一番おもしろかったのはKOKK小柳肇氏の利幅の話でした。「旅行業界は10%商売」というのは、冷静になるとなかなか厳しい数字ですが、今はそれよりも更に低いわけですからなお酷い。しかし、それが主催旅行で30%というのは非常に夢があるというか、誤解されそうな書き方をすればあるべき姿という感じです。
手間がかかって利幅の少ない商品は売らないなんて商売の当たり前ではありますし、航空券も切符も売らないという選択肢実は全然ありですよね。もちろん、そのためにはKOKKでされているようにマルチタスク上等な現場のしんどさもあるでしょうし、インプットもトライアンドエラーの数もひたすら増やす必要がある苦しさはあるでしょうが、先が見えない薄利の商売をするよりは努力のしがいがありそうです。逆に、旅行会社はいつまで航空券等を販売するのでしょう? キャリアからは現在体の良い代理コールセンターのような扱いを非常に低利で任されているわけで、専門知識も責任も必要であるのに見合う利益率とは到底言えないでしょう。もちろん変化に伴う様々な痛みはあるでしょうが、どこかのタイミングで必要な変化だと思いますね。そして、やるなら今だとも思います。
しかし、これだと発行人コラムと同じようなものなので芸もないですし、一つ低利益や、なんなら赤字でも続ける販売プロセスの存在を考えてみましょう。
最近の流行りだとウェブアプリのNotionや、皆さんご存知zoomなどが撮っているProduct-Led Growthという手法ですね。簡単に言うとプロダクトがプロダクトを売るという戦略です。無料版を公開し、プロダクトが優秀であれば有料版にそのまま移行してくれるという考えです。もちろん、この手法をとるためにはプロダクトがめちゃくちゃ優秀でないと厳しいですが。あとは、マーケティング費用と割り切るくらいですかね。ほとんどの旅行会社が航空券を売らなくなったら「うちは航空券も一緒にやりますよ!」が付加価値になる日が来るかもしれません。