セーバー、アフターコロナの旅行市場を予想、国際線座席数は22年冬から増加
セーバーはこのほど「アフターコロナ~旅行トレンドへの向き合い方と、NDCを含むSabre最新テクノロジー~」と題するウェビナーを開催した。まず旅行市場の状況について執行役員セーバー事業部長の梅園達郎氏がIATAやCAPAの数字を挙げ「航空座席供給の回復はEUが早くアジア太平洋が遅い傾向はあるものの、コロナ禍がようやくピークアウトに向かいつつある」とした。
また国際線ビジネスがパンデミック前に回復する時期についてUNWTO観光専門家の61%が「22年の見通しが良好」、58%が「主に第3四半期中」としており、また回復が顕著になるタイミングについては42%が「23年」と見ているとのデータを紹介した。さらに日本市場について、OAGやCAPAのデータから航空会社は22年の冬と23年春に向けて国際線提供座席数を増やそうとしていると分析した。
次いでセーバー事業部の佐藤美由紀氏がコロナ禍後の旅行トレンドと旅行ビジネスの変化を展望。旅行者ニーズの変化については衛生管理、フレキシブルな旅程、ラストミニッツ予約・危機管理、持続可能性の4つがキーワードとなるとした。その理由として、各種調査データを引用し、旅行者の72.8%が健康・安全対策を重視し、76%がフレキシブルなキャンセル・返金規定があるホテルを選択したいと考えていること。また21年上半期の最短航空券予約期間が21日であることや、83%もの旅行者がコロナ禍の結果として「より持続可能な旅行を希望している」ことを挙げた。
一方で旅行業界の現状についても触れ、リモートワークの普及によるコミュニケーション不足や、帰休・休業・出向による一時離職などにより業界各社が人的リソース不足に陥っている現状を指摘。その状況で旅行業界は顧客ニーズの多様化、航空運賃の複雑化、アンシラリーサービスの拡大、NDC利用の拡大といった変化に対応していく必要があると説明。こうした状況を打開していくために「セーバーは新たなテクノロジーで旅行会社の新たな働き方を支援していく」と結んだ。
次いで企画部の杉田周平氏がセーバーの最新技術とその最新技術を活かした事例について説明した。それによるとセーバーは検索、手配コンテンツ、自動処理/API、最適化・精算データ、予約・発券、渡航者サービスのすべてのプロセスに対応し、最先端技術を投入している。アフターコロナにおける重要事項となっている感染・環境対策、NDC流通、働き方改革・業務改善の3つに関する対応にも注力しており、新たな対応を進めている。
感染・環境対策については、航空会社や宿泊施設の感染対策情報を関連機関や独自調査を通じて取得し、航空便ごとのCO2排出量も環境対策情報提供の一環として独自に算出。いずれも最新端末のSabre Red 360を通じて情報提供していると説明。
NDC流通については25社以上の航空会社と協議・開発中で、NDCを通じて検索・運賃計算・予約・支払い・キャンセル・VOID・払い戻し・交換発効に対応し、22年上期をめどに事前座席指定も可能になると報告した。働き方改革・業務改善についても、セーバーの優れた操作性や業務自動化ソリューションだけでなく、グーグルなどIT大手との提携により最新AI技術の導入にも取り込みつつ、旅行会社の業務負荷軽減を実現していく方針だ。
グローバルアカウント担当部長の小山真澄氏はグローバルセーバーの導入について説明。ビジネス最適化へのサポートとしてセーバーが導入プロジェクトチームを結成して支援し、ワークフローの見直しなどのコンサルティングを実施。新規顧客開拓の課題抽出やベンチマークの比較なども支援するとした。