【労務のいろは】まもなく施行! 育児・介護休業法の改正で何が変わるか
令和4年4月より施行される育児・介護休業法の改正点
3.有期雇用労働者の育休・介護休業取得要件緩和
現行の制度(令和4年3月31日までの間)では、有期契約労働者のうち継続した雇用期間が1年以上ある場合のみを育児休業・介護休業の取得の対象としているため、入社1年未満の有期労働者は育児休業を取得できません。しかし令和4年4月以降では上記条文が撤廃されるため、入社1年未満の有期労働者も育児休業が取れるようになります。
令和4年4月以降も、労使協定により雇用期間が1年未満の有期労働者を育休取得対象から除外することは引き続き可能です。ただし、期間の定めのない労働者は除外せず、有期労働者のみ除外するような場合には、パートタイム・有期雇用労働法第8条の「不合理な待遇差」への該当性が問題となりそうです。
なお、後述する令和4年10月に施行される育休取得の申出期限を1ヶ月とする労使協定も含め、すべての育児休業・介護休業に対する労使協定は労働基準監督署への届出は不要です。
令和4年10月より施行が予定されている育児・介護休業法の改正点
現在の育児休業制度では、育休の取得を分割して取得することは認められないなど、利用しにくい部分が多くあります。しかし令和4年10月より施行が予定される育児休業制度では、より取得しやすい柔軟な育休制度に変更が予定されています。例えば、従来の育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に最大4週間まで、男性労働者に対して育児休業を取得する制度【産後パパ育休】の創設等があります。
また、育児休業中の社会保険料の取り扱いについても令和4年10月以降変更されます。現行では月の末日に育児休業を取得しているか否かでその月の社会保険料の徴収もしくは免除が決まります。しかし、改正後は末日に育児休業を取得している場合に加え、その月に14日以上の育児休業の取得している場合も社会保険料は免除されます。一方、賞与は、末日に取得しているかではなく連続して1ヶ月を超える育児休業を取得した場合に限って、免除とされるように改定されます。
大きな改正点は、現在は育休取得希望日の1ヶ月前までに育児休業にかかる申出が必要だったものが、改正後は育休取得希望日の2週間前までと変更されることです。つまり申出にかかる期限が2週間短縮されます。会社としては2週間で代替要員の確保や業務の調整などが必要となることになります。ただ、この申出期限は、会社の都合などにより、労使協定により従来の1ヶ月前までとすることは可能となっています。準備の都合などがあれば、できるだけ労使協定を締結し、1ヶ月程度の時間を確保するのがよいと思う次第です。
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